俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい

そして大地の顔がゆっくりと近づいてきたと思えば、唇にキスがひとつ落とされた。

両手が顔から離され、今度は手を包まれる。

「美空。好きだ。俺の彼女になって」

嘘だ…

「信じられないって顔してる」

「だ、だって! こんなんじゃん!」

私は自分の顔の周りを指さしてぐるぐる動かす。

「ああ。知ってる。見えてる」

「大地、目悪いの?」

「いや? めっちゃいい」

その間も私の手を握る大地は、指をスルスルと動かしている。

「わ、私、塩辛とスルメが好きで…」

「ああ。知ってる」

「家だとダラダラして…」

「それも知ってる」

「それに、夜だって…」

手を引かれてギューっと力いっぱい抱きしめられる。

「いいから」

「私、干物化してるし、下着だってボロボロで…」

「わかってるから」

「で、でも!」

「いい加減、諦めろ」

「いい…の? 私、このままで…」

ゆっくりと抱きしめる力が緩まり、また目と目が重なる。
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