俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
「あいてる」

それだけ言ってブツっと切れた。
勝手に入れって事ね。

「お邪魔しまーす。あ! いい匂い!」

玄関に入るとミートソースの美味しそうな匂いがしてきていた。
初めて入る大地の部屋。
同じマンションだけど角部屋だからかうちとは間取りが違った。
インテリアも違う。
しかもめちゃくちゃ広い。

大理石でできた玄関フロアはピカピカでシューズもきちんと並べられていた。

ふと左側のシュークロークを見れば、ものすごい数のスニーカーが上までズラっと並べられていた。
コレクターなの?
新品ばっかじゃん。

そしてリビングに向かう廊下にはセンスのいいアートが飾られている。

相変わらずおしゃれですこと。

「大地ー。ビールもってきたよ」

リビングに入ってキッチンに立つ大地の元へ向かう。
ここはうちと同じでアイランドキッチンになっていた。
でも広さが全然違う。

「お前なぁ。外とギャップありすぎ」

私を見るなりクスッと笑うと手からビールを抜き取り大きな冷蔵庫にしまった。

「なんとでも言ってくださーい」

「おまえ、そんなんじゃ彼氏びっくりすんだろ」

「彼氏なんてもうずっといませーん」

言葉通りここ数年は彼氏なんて存在は私にはいない。
すっかり干物化している自覚はある。

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