俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
車から降りると、丈慈も出てくる。

「ありがとね! 丈慈はこのまま帰るの?」

「いや、俺はslowに顔出すわ」

slowとは、これまた私達のハトコの冨樫奏翔(とがしかなと)がマスターをしているホテルのBARだ。

「最近行ってなかったなー。今度私も行くって言っといて」

「了解。てかあれお前の彼氏だったりする? 俺、めっちゃ睨まれてる気すんだけど」

丈慈はチラッと目線だけを横にズラす。
そして私も振り返ろうとした時、丈慈は何を思ったんだか私の顎を掴んでクイっと持ち上げた。

「ちょ! ちょっと!」

「はは! 走ってきたぞ。お前ちょっと黙っとけ。テストだ」

私の耳元に向かって話す丈慈。
は?
テスト?

すると案の定すぐに大地の声がした。

「おい、その手離せ」

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