俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
「え。なに? そんな顔して。あ。食洗機派だった?」

「いや。別にこだわりはない。お前も食器洗ったりするんだなって」

どういう意味よ。

「はい? このくらいするんですけど。パスタもすごく美味しかったよ。ごちそうさま。ありがとうね」

すると、また驚いた顔をされた。
なによ。

「お、おう。お粗末さま」

そう言って大地は隣で洗った食器を次々と拭きあげていきあっという間に洗い物は片付いた。

今度はビールをもってこれまたオシャレで大きいカウチソファーに並んで座る。

「カンパーイ! はぁー。さいっこー。塩辛ある?」

「ねぇよ。じじいか」

「うるっさいなぁ! えー? ないの? んじゃスルメは?」

「ねぇよ。お前どんだけオヤジ化してんだ」

なんとでも言ってくれ。

「ちょっと待ってて」

立ち上がり、一旦自分の部屋に戻ると塩辛とスルメをもってまた大地の部屋に戻った。

「おい」

「なによ」

「わざわざ戻ってこなくてよくね? もうお前の家みたいになってるぞ」

「あはは! 確かに! まぁ、いいじゃん! ほら、大地も食べてみな」

言われた通りビールを飲んでひとくち塩辛を口にする大地。

「あ。うまいわ。ハマりそ」

「ほらぁ! でしょう? これで大地も立派なオヤジだね」

「なんだよ、立派なオヤジって」

「あはは! 今度はさ、私が何か作るわ。今日のお礼。何食べたいか考えといて」

「わかった。ちゃんと人間の食いもんにしてくれよ?」

一体この人は私をなんだと思ってるんだか。
ジトっと睨んだ私を見て大地はまた面白そうに笑った。
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