俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
そして俺を見た。
「試すような事して悪かったな。俺、こいつの二つ上のいとこの神楽丈慈だ。よろしく」
そう言って右手を差し出してきた。
「は?」
神楽っつったか?
いとこ?
え、俺めっちゃ元カレだと思って…
あーなるほど。試されたわけね俺。
「改めまして。お付き合いさせていただいてます。藤堂大地です」
そう言って気を取り直し名乗ると俺も右手を出した。
「大地くんね。仕事は何を?」
「美容師と、実家の会社の役員を」
「美容師。どうりで。大地くん、お前めっちゃカッコいいな」
急にフレンドリーになる。
「丈慈。あんたそろそろいい加減にしなさいよ」
「おーこわ。美空って怖いよな? 大地くん、大丈夫?」
「問題ないっす」
「ははは! さすがだ。それじゃお邪魔虫はそろそろ退散しますわ。美空をよろしく」
「はい」
「大地くん。今度飲みいこうな」
「ぜひ」
「じゃな。美空、良かったないい彼氏できて」
そう言ってあっという間に走り去って行った。