俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
「ふふふ。ねぇ、大地は私の事が昔から好きなの。わかるでしょ? 私が結婚してもそれでもいいって言うくらいなのよ? 大地は私ののものなの。ちょっかいかけないで、さっさと返してよ」

は?
大地をなんだと思ってんの?
まるで物みたいに。
そもそもこの人、結婚してるのよね?

「あなた、大地の事すきなの?」

そんな嘘までついてさ。

「そんな事あなたに言う必要ある? いいから別れなさいよ」

この人、寂しい人だな。
自分から大地を捨てたくせに、結婚生活うまくいってないんだきっと。

「なんか、それ。言ってて悲しくないですか?」

みるみる顔を赤くする元カノ。
図星だったようだ。

「美空!」

すると大地の声がして振り向けばスーツをビシッと着こなしこちらへ走ってきた。
カッコいい。
って、今はそれどころじゃない。

「あ、大地。お疲れ様! 今行こうとしてたんだけど…」

元カノは少し気まずそうな顔をした。
そして、急に泣き出した。

「大地。この人ったら、他にも男がいるのに大地に言い寄ってるから私黙っていられなくて。注意したら、私を怒鳴りつけてきたの」

はい?
嘘も大概にしてくれ。

「詩織? どういう事だ?」

「大地は遊ばれてるのよ! こんな派手な格好の女。私見たもの。こないだ、この女が白の大きな車に男と乗ってるの」
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