俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
大地と私はすぐにピンときた。
目を合わせる。
これ、丈慈の事だなと。

「大地。この人とは早く別れた方がいいわ? あなた遊ばれてるのよ! こんな見た目だけの女。私結婚したけど、あなたなら…」

「詩織。やめてくれないか」

「え…?」

「美空は俺の大事な彼女だ。悪く言うならあんたでも許さねぇぞ」

「大地…? なんでそんな言い方…。こないだも雰囲気違うと思ったけど…」

「悪いな。本来の俺はこうなんだよ。昔は無理してた。あんたに合わせようとして」

「そ、そんな…」

「全然違うだろ? でも俺は良かったと思う。詩織から抜け出せて。今思えば俺、都合の良いようにされてたんだと気付いたよ」

「大地は私の事ずっと好きだったわよね? だから私付き合ってあげたんじゃない」

「付き合って、あげた…? 黙って聞いてれば何言ってんの? 大地の気持ちを何だと思ってるのあなた」

私は黙っていられず口を出した。

「美空。大丈夫」

大地は私に微笑みかける。

「なんなの? 私がまた昔みたいに遊んであげるって言ってるんだから言う事聞きなさいよ!」

この女終わってる…

「あんたもそれが本性? はは。すっかり騙されてたんだな俺。まぁいいよもう。早く俺たちの前から消えろ。これ以上恥を晒すな。みっともねぇ。あの男と仲良くしてろよ。二度と近づくんじゃねぇ。じゃあな。行くぞ、美空」
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