俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
ベッドからそそくさとでて、キョロキョロする。
「瓶底ならここ」
大地は私の探していたメガネを指差した。
大地の横にあるサイドテーブルに乗っているらしく、ベッドの周りをぐるっとまわる。
足元を通れば、大きな足がブランケットからひょっこりでていてベッドからもはみ出していた。
こちょこちょしてやろうか。
しちゃお。
してみた。
「ふっは! やめろ! バカかお前は!」
「何? 大ちゃんくすぐったいんでちゅか? お子ちゃまでちゅねー」
してやったぜ。
いつも、私をバカにしている罰だ。
「ははは! ざまみろだ」
そしてメガネを取ろうと手を伸ばす。
あと少しの所で大地にメガネをヒョイっと取り上げられてしまった。
そのまま立ち上がり手を上げた大地。
と、届かない。
ピョンピョン飛んでみるが、無理だ。
そんな私を見るなり
「美空ちゃん届かないんでちゅか? お子ちゃまでちゅねー」
とか言ってくる。
「ねぇ。バカなの? パンツ一丁でこんな事してさ」
「うるせーな。帰れ」
大地はメガネを私にかけるとグイグイ背中を押して寝室から追い出した。
「ちょ、ちょっと!」
はぁ。
まったく。
「んじゃ、帰るねー! ありがとねー! おじゃましましたー」
ドア越しにそれだけ言って私は大人しく自分の部屋に戻ったのだった。