俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
「七海くん。そこ、ちょっと違う。ここはこうだよ」

さっそくマネキンを使ってカットの指導だ。

「はい」

「そう。いい感じ。やっぱり上手だね!」

「あ、ありがとうございます!」

そしてあっという間に一時間は終わる。

「ありがとうございました。俺、もう少し残って練習していきます。明日もよろしくお願いします!」

「うん、頑張ってね。それじゃお疲れ様でした」

そうして店を出た。
つ、疲れた…

アシスタントに指導するのとは違って、なかなか大変だなこれは。
店長も鈴木さんも何人もこうして指導してきたんだもんな。
私も頑張らないと。

「美空」

すると後ろから大地の声がして、振り向く。
ホっとする瞬間だ。

「大地! 疲れさまー!」

思わず飛びつきたくなるが、家までは我慢我慢。

「お疲れ。どうだった?」

店からもう離れているので、ふたり肩を並べて歩く。

「めっちゃ大変だわ」

「ははは。俺も前にいた店でそんな感じで指導についた事あるけど、結構大変だよな」
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