俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい

〜大地side〜



美空が、七海の指導係になって二週間。

俺の店から、美空の店の中をチラッと見れば指導中なのだろう。
美空と七海がマネキンを前に笑顔で仲良さそうに練習しているのが見えた。

七海は絶対、美空の事が好きだ。
俺にはわかる。

美空に近づくな。

そう思うも、美空は指導係として頑張っているし俺のくだらない嫉妬で余計な気を使われたくない。

それでも、毎日ふたりくっついて仲良さそうにしているのを目の当たりにすると心穏やかではないのが正直なところだ。

近すぎねぇか?
そんなに、笑顔を振り撒くなよ。

美空に対してなのか、七海に対してなのか、無性に苛立ってしまう。

ッツ!
カランッ

「すみません。ちょっとお待ちくださいね」

クソっ!
カット中にも関わらず、余計な事を考えていたせいで、指を切ってしまった。
思わずハサミまで落とす始末。

一度奥へ引っ込み、止血をしていれば一人のスタッフが寄ってきた。
アシスタントの川口梨々香(かわぐちりりか)だ。
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