俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
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「美空。今日ちょっと用事ができたから、泊まりはなしでいいか?」

仕事が終わってからも、イライラが収まらなかった俺は美空に電話をした。

「あ、うん! わかった! いってらっしゃい! 気をつけてね」

美空はいつもの明るい声で快く返事をしてくれた。
嘘をついた事で、さらに気分は沈み心は痛んだ。

はぁ。
こんな感情、美空に知られたくない。
でも間違って八つ当たりなんかしてしまって嫌われたくない。

用事もないのに、何故か美空を避けてしまった。

そしてあてもなく、目についたBARに入った。

カウンターで一人酒を煽る。
カランとグラスの氷が音をたてた。
今日怪我をした指が目に止まり、また深いため息がこぼれた。

美空…
心の中で名前を呼ぶ。

「大地さん?」

酔いも回ってうな垂れていた頃、名前を呼ばれて顔をそっとあげれば、アシスタントの川口がいた。
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