俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい


「川口…?」

「大地さん、大丈夫ですか? やっぱり何かあったんじゃないんですか?」

心配そうに俺の顔を覗き込み、俺の隣に座った。
店のスタッフには、美空との関係は話していない。
そもそも、転職して間もないしプライベートな事を話す機会もなかった。

「俺、彼女がいるんだけど、嫉妬で狂っちまいそうなんだ。彼女は悪くないのに、八つ当たりしそうで自分が怖い」

何を思ったのか、俺の口はベラベラと弱音を吐き出した。

川口を見れば急にプライベートな話しをされて、目を大きく開けて驚いている。

「彼女が好きすぎて、閉じ込めてしまいたい。誰の目にも止まらないように。大事な時期だってわかってるのに、応援したいのに」

俺の口はタガが外れたように止まらない。

「はぁ。かっこ悪りぃな」

「あの! アシスタントの分際でこんな事言ったらあれなんですけど、大地さんはかっこ悪くありません。こんなになるまで悩んでて、彼女さんは大地さんの気持ちに気づかないんですか?」

急に黙っていた川口が勢いよく話し出した。

「いや…俺、見せてないし」

「正直に話せない仲なんですか?」

確かに。
言われてハッとした。
何を遠慮してんだ俺は。
今更、カッコつけて平気なふりして。
美空はそんな俺を嫌うような女だったか?
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