俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
〜美空side〜
大地から電話をもらって、大人しく家でゆっくりするかと思っていれば、絃(いと)から久しぶりに電話がきた。
絃こと藤崎絃(ふじさきいと)は、兄と同い年の私の親戚だ。血縁関係はないけど。
絃は、私の叔父、純平くんの義理の兄の子供だ。
私のイトコの丈慈と翠の、イトコにあたる。
同じレジデンスで育ったから、なんならもうみんな兄妹だと思ってる。
「おう。元気か? お前全然顔みせねぇんだもんよ。維織(いおり)も心配してっぞ。お前、明日休みだろ? 飲み行くぞ」
「えー? めんどくさ」
「いーから。ジャージ着てくんなよ?」
「わかってるって」
「んじゃ、すぐ迎え行く」
そして、ものの数十分もしないうちにマンションの前にホワイトのアメリカ製高級大型SUVが止まった。ライトがいっぱいついてるやつ。ギラギラの。
相変わらず、丈慈といい絃といい、何で私の親戚達はみんなこういう車ばっかなんだ?
「おう。ほれ、乗れ。slowいくぞ」
slowかい。
「はいはい」