俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
「大地。不安?」

ズバリ言い当てられる。
俺は横になったまま、後ろから美空を包み込むように抱きしめた。

「ああ。悪い。わかってんのに、気持ちが追いつかないんだ」

「話ってそれの事? もしかして、七海くん?」

「…そうだ。毎日、楽しそうに練習してる二人が店から見えるんだよ。どうしても、妬ける。仕事だってわかってんのに」

「大地。大丈夫だよ。信じて」

「格好つけて我慢してたんだよ俺」

「大地。私、大地だけだよ。大地が応援してくれてるから頑張ってた」

「美空…。あいつ、お前の事…」

「え? なに?」

だよな。やっぱり気づいてないよな。

「いや…」

「大地。言って。今更隠さないで」

ギロっと睨まれる。

「あいつ、お前の事好きだぞ」

「は? なんで?」

「俺にはわかる。あいつ、学生の頃も美空と一緒にいた俺を睨んできやがった。間違いない」

「だとしても、困るだけだわ。私、大地じゃなきゃ無理だもん」
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