俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい

そして、俺の手をギュッと掴んでいた美空が叫んだ。

「ちょっと! 怪我してるじゃん! え⁈ 切ったの?」

俺は情けなくて慌てて隠そうと手を引っ込めようとしたがグイッと掴まれた。

「あー。ははは。情けねぇよ本当に」

「大地…決めた」

「決めた? 何を?」

「もう、付き合ってるの隠すのやめよ!」

「え? でもお前、働きづらくなるだろ?」

「関係ない! もう堂々としてよ!」

俺の怪我とどうやってその考えに繋がったのかはわからないけど、俺ももう隠したくなかった。
堂々と、俺たちは付き合ってると言いたかった。


「そうだな。そうしよう。嬉しい」

「七海くんに何か言われてもバッサリ振ってやるわ!」

ははは。
さすがだわ。

「ああ。思う存分言ってやれ」

やっぱりちゃんと話して良かった。
美空は俺が思ってるよりも強かった。
こんな俺の事を、突き放さず受け止めてくれた。
こんな女いねぇよ本当に。
もったいないくらいだ。
甘えろなんて散々言っときながら、今回は俺が完全に甘えてしまった。
絶対に美空を幸せにしたい。

よりいっそう離れたくないと、ギュッと美空を抱きしめる腕に力を込めた。



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