俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
「美空さん。好きです」
はい⁈
私は慌てて七海くんが掴んだ手を振り解いた。
「俺、美空さんが好きで、ここまでついてきたんすよ。やっと見つけたのに、あんな男と付き合ってるし。俺、諦めませんから」
んなっ⁈
あんな男ってなによ!
「いや、諦めてくれ」
いつの間に車から降りてきたのか、大地が私を引き寄せ七海くんの前に立った。
「大地さん。結婚してるわけじゃないし、俺にもチャンスありますよね」
七海くん。本当にやめてくれ。
ないから。
「いや、ないな」
大地が私の代わりに答えてくれた。
「そんなの、わからないじゃないですか」
「なんでだ?」
「俺、学生の頃から美空さんの事見てきたんすよ。いつも真剣に取組む姿に心惹かれました。美空さんは、本来もの静かで真面目でお淑やかな女性なんです。なのに、あんたみたいなのと付き合ってるから無理して背伸びして。美空さんを解放してください。美空さんは俺が幸せにします」
私が、もの静かでお淑やか?
俺が幸せにする?
ゾゾゾっと鳥肌が立った。