俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
「はは! 確かにね、学生の頃の私を知ってれば静かそうには見えたかもね。でもあれ、ただ単に技術を磨くために自分の身だしなみなんて面倒くさくて気にしてなかっただけ」

七海くんはわかりやすく大きく目を開いて驚いている。

「それから、ここでの私についてだけど。今は社会に出て、トップスタイルストとして恥じないように、自分が集中できるように職場ではこんな感じの人柄を演じてるの」

「演じてる?」

「そっ! 名付けてクールビューティー美空! いい感じに化けてるでしょ? それに、もともとオシャレは好きなの。学生の頃はあんな格好してたけど。ショーの時の私とか覚えてない? みんな驚いてたんだけどな」

「な、なんすかそれ。え? ショーの時、美空さんいませんでしたよね? なんか代わりに見た事ないめちゃくちゃ美人な人はいた…え⁈ あれ、もしかして美空さんだったんすか⁈」

「たぶんそう。ちゃんとしてる時もあったんだよ? みんな気づかなかったけど。大地くらいかな気づいたのは」

「大地さんは気づいたんすね…」

「うん。それから私、お淑やかとか本当ないから。家では高校のボロボロのジャージ着て、すぐすっぴんだし、あの瓶底のメガネかけて、あぐらかいて塩辛とスルメ片手にビールを飲んで、そのまま寝ちゃ」

「す、ストップストップ! わ、わかりました。わかりました」

「わかってくれたの?」
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