俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
間も無くすると、使用人の明美(あけみ)さんがお茶を淹れて持ってきた。
明美さんは60歳くらいで、昔からうちで住み込みをして従事してくれている。
「大地坊ちゃんお元気そうで。明美は嬉しゅうございます」
「ありがとうございます。明美さんも」
「ふふふ。あら! 坊ちゃん、またカッコよくなられて」
「明美。行きなさい」
じーさんが落ち着いた声で促す。
「失礼しました。それでは、何かございましたらなんなりと」
そしてスッと襖を開けて出て行った。
「聞いたか?」
「ああ。それでなんだが、俺も兄貴も見合いは無理だ」
「なんで」
「兄貴はともかく、俺は本当に無理。付き合ってる彼女がいる。大事にしたい」
「彼女だぁ? 嘘つくな」
「嘘じゃねぇよ。だからこうして言いにきたんだろ」
「どんな子なんだ?」
「どんな子って…」
ジャージ姿のかわいい美空が思い浮かぶ。
ははは。