俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
「いやぁ、大園さん。何か手違いがあったようです。お見合いの話はなしで頼みますよ。そちらのお爺様にもよろしくお伝えください。では」

じーさんはそう言い残し、逃げるようにそそくさと行ってしまった。

完全に取り残された。
おいおい。どうすんだよコレ。

美空は笑顔を保ってはいるが、怒ってるオーラが隠せていない。
早くなんとかしろと言っているようだ。

「あー。ははは。すみませんね。そういう事なんで、私たちも失礼しますね。引き続きパーティお楽しみください。それじゃ」


なんとか引きつる顔を操作して、美空を連れてその場から離れ、会場の隅に移動した。

「キッツ」

美空は息を止めてたらしい。
それでも、周りの目線から逃げられないとわかったのか、笑顔は崩さない。

「悪い。美空。じーさんがちょっと暴走しちまってよ」

俺もなんとか笑顔で話す。

「あとでちゃんと説明してね」

めっちゃ笑顔で言われる。
あー、これ相当キレてるわ。
だよな。
断るつもりだったから見合い話があったこと言ってなかったしな。

「ああ。わかってる」

美空は一旦気持ちを切り替えたのか、俺を見てフっと微笑んだ。
俺も、微笑む。抱きしめたい。

「綺麗だ。美空」

「ふふふ。大地もね。気付いた? ドレスお揃いだよ」

「ああ。最高なカップルコーデだな。せっかくだから、パーティ楽しもう」
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