俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
スイート
今日はこのままホテルのスイートに泊まる。

「聖奈ちゃん、大丈夫かな?」

部屋に入ってからも、美空はまだ妹が心配だったようだ。

「へーきへーき。今頃落ち着いたろ」

「ならいいけど。大地の兄妹みんな愉快そうだったね」

「うるさいだけだ。美空。おいで」

俺は美空の腕を引き寄せ、いつものように膝の上に乗せて抱きしめた。

「大地。私まだ怒ってるよ」

ヤベ。そうだった。

「美空。ごめん。ちゃんと言わなくて」

「お見合いってなんだったの?」

そして事の経緯を話した。

「お爺様、大丈夫?」

「ん? もう大丈夫だ。ありゃ、美空の事すっかり気に入ってるはずだ」

「家柄とか、よくわかんないけど…」

「大丈夫。じーさんも本気で言ってたんじゃないと思うから」

たぶん、いつまでもちゃんとした彼女を作らなかった俺たち兄弟に喝を入れたかったんだろう。
にしてもあの大園清華には、じーさんもびっくりしてたな。

「そっか。でもあの相手の人は大人しく諦めてくれる?」

ん?
ちょっと不安そうだな。

「不安か?」

「うん…。なんかヤダ」

かわいい。
ヤキモチ妬いてる。

「俺は最初からお前しか見てない。大丈夫。俺が大事にしたいのは、美空、お前だけだ」

「大地…」

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