俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
自然で綺麗に整えられた眉に、大きめのパッチリとした目。目尻は少し上がっていて小悪魔のようにも見える。
それが笑うと驚くほどフワッと綺麗なカーブをつくり優しい印象に変わる。

鼻も筋が綺麗に通っていて、唇も口角が自然と上に上がっている。

小さな顔にそれぞれのパーツが見事なバランスで配置されているのだ。

なのに、服は適当。
顔もすっぴん。
おまけに、瓶底メガネだ。

そして、俺も全力で努力しないといけないくらい、技術は見事なものだった。
色んなヤツがいる中で、俺にだけ対抗心剥き出しで接してくるのもまた本当に面白い。
だからか、俺もついついからかってしまう。

美空は知らないが、何度も付き合っているのか聞かれた。

アイツは友達と馴れ合うタイプではないようで、完全に高嶺の花扱いされていて、唯一話すのが俺だけだった。

そんな美空の隣りに偶然にも引っ越した俺。
そして、なんと職場も通りを挟んで向かい側のライバル店ときた。

こんなに面白い事はない。

そして、何年たっても美空は美空だった。
外ではさすがにトップスタイリストとしてやっているからかきちんとしているみたいだが、家での美空は昔のまんまだった。

そんな美空をみて何故かホッとしている自分がいた。
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