俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
パタンとドアが閉まった。

は? 隣りって言った?

「えーーー!?」

誰もいない玄関先でまたもや大声を出す私。

ここは都内にある高層マンション。
私が住むこのフロアには三世帯が住めるようになっていて、右隣はドクターをしていた旦那さんがいる60代くらいの夫婦が住んでいる。
そして、左隣は確かに空室だった。

ここのマンションは、親戚が所有しているため私は家賃なしで住まわせてもらっている。
ありがたい話だ。

にしてもよりによって、大地が隣りなんて。

大地とは、美容学校時代一番二番の成績を争うライバルだった。
いつもふたりでギャンギャン言い合いながら、学生時代を過ごした。
最後のコンクールで惜しくも負けてしまって苦い思い出がある。

毎日のようにやり合っていたのに、卒業してからは一切会うこともなく連絡もとっていなかった。

卒業したあとの打ち上げで酔っ払った私はトイレに携帯を落として水没させてしまい見事にデータが飛んでしまって新しい携帯にしたのもあって繋がりがなくなってしまったのだ。
もともと友達も少なかったし気にしてなかったけど。

< 7 / 268 >

この作品をシェア

pagetop