俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
「さっき…悪かった」

「ん?」

ちょっと今、いいシーンなんだけど…
目は画面に残したまま、顔だけ大地へ向ける。

「あれ、兄貴の同級生で、俺の元家庭教師だったんだ。片想いしてて。いつも子供扱いされてて全く相手にされなかった」

ちょ、ちょっと待って…
映画…

わかったわかった。
聞きますよ。

映画は諦めて大地の話をきちんと聞く。

「うん。それで?」

「それで、思い切って3年前告白して」

おお! よくやった。

「それでそれで?」

「他に好きな人いるって言われた」

そっちかー。

「あら」

「でもそれでもいいからって言って、無理矢理付き合った」

おや。結構グイグイじゃん大地。

「ほうほう。それで?」

「んで二年くらい付き合ってた」

なるほど。

「さっきの男の人って…」

「ああ。あの人の事がずっと好きで、結局俺と付き合ってもやっぱり忘れられないって、一年前別れたんだ」

「一年前に…。そうだったんだ。大地、まだ好きなの?」

「いや。好きとは違うのかもしれないって今日会って思った」

「んじゃなんでそんな落ち込んでんのよ」

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