俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい

〜大地side〜

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仲直りしてからというもの、なんだか毎日が若干浮き足立っている気がする。

ラストの客が遅い時間で、スタッフももういないというのに親切にどら焼きを大量に頂いてしまう。
明日は定休日。
どら焼きは日持ちしない。

美空だな。

あいつにあげよう。

なぜかいつも何かあるたびに一番に頭に浮かぶのはあいつな気がする。

俺には忘れられない人がいるというのに。

まず、とにかくどら焼きは朝一であいつにあげよう。

そして翌朝、美空の部屋へ向かう。
俺、なんだかんだ定休日のたびに来てないか?

美空はいつもの着古したジャージに、瓶底メガネをかけて出てきた。
今日のヘアバンドは豚だった。
前はエイリアンだった。
何個持ってんだ?

Tシャツに手を突っ込みぽりぽりしながら大きなあくびをしている。

ははは。
さすがだわ。

どら焼きは結局食べきれないので、隣の家にもあげることになった。

すると結婚したのかと聞かれ、俺は何故か慌てて同級生だと説明した。
なんか逆に意識してるみたいになってしまった気もする。
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