俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
高校までは特に隠さず過ごしていたが、こんな見た目だし、そこに御曹司という名がついてくると、女も男も俺の上辺だけを見て騒ぐようなやつらばかりでいい思い出がない。

唯一関係なく接してくれて、俺もありのままでいられたのは、今でも親友と呼べる数人だけだった。

もしかすると美空もだったのかもしれないと、ふと思った。
それでも、俺にはちゃんと教えてくれた。
なぜか特別扱いされてる気がして勝手に嬉しくなった。
そうしてその後の車内の会話も弾む。

店に入れば美空は大騒ぎだ。
こんな美女が騒いでいればそりゃ注目もされる。
俺はいつも通り気にしてないが、美空は自覚がないらしく不安そうに自分が変な格好しているのではと聞いてきた。

お前がかわいいからだよ。

そうついつい正直に言ってしまいそうになった時、美空がすれ違う男性とぶつかりそうになり腕を引っ張った。
華奢な腕だな。

そしてレジに並んでいる時、一年前に別れた彼女を見つけてしまった。

あれだけ彼女を忘れられないと思っていたはずなのに。
他の男と歩く彼女を見ても全く心が揺さぶられなかった。
いつの間にか、思い出として消化していたのだと気づいた。
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