俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
もしかして

〜美空side〜

大地と映画を見る間も、なんだか微妙に集中できない。

大地がソファーの背もたれに腕をかけて私の後ろに回しているからだ。

これ私がソファーにおっかかったら完全に肩に手回されるやつだよね。

「ちょっと」

「ん? どした?」

「この腕、どかしてよ」

「あ? 腕長くて悪いな。いちいち気にすんな」

そう言って、全くどかす気はないようだ。
もういーや!
私は諦めてソファーにおっかかった。

あ、肩に腕が回ってこない。
なぁんだ。考えすぎか。
先ほど、あんな熱い目で見つめられたからか変に意識してしまった。

これで集中できるわ。

そう思った矢先、大地の手が私の髪に触れた。
そしてそのまま毛先を指でクルクルと遊び始めた。

おい。
なんだいこれは。

「ちょっと」

「あ? なんだよ今度は」

「なんだよじゃない。なんで髪もてあそんでんのよ」

「あ? ああ。そこに髪があったから?」

ニヤニヤと笑っている。

「そこに山があったからみたいな?」

「そうそう。それ。職業病みたいなもんだろ。気にすんな。触らせろ」

「私の髪で遊ぶなんて百万年はやいわ!」

ペーンと髪を触る大地の手を叩いてやった。

「いってーな。俺の商売道具だぞ」
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