俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい


それでもクルクルする指。
ダメだこりゃ。もういーや。諦めた。
勝手にしろ。

私もクルクル弄んでやろうか?
ってもう、クルクルパーマなんだったこの男は。


「そのパーマって誰にしてもらったの? アシスタントの練習とか?」

「いや? セルフ」

え? セルフでパーマ? 器用すぎない?

「すご。今度私がしてあげようか? セルフとかキツくない?」

「はは! 確かにこれキツかったわ。後ろなんてノールックだからな。んじゃ頼むわ」

「あ、でも店に大地きたらみんな大騒ぎするかも」

「なんで? 向かいの店のスタイリストだから?」

「いや、それもあるけど…」

「他になにあんだよ」

「みんなイケメンだって騒いでる」

「おお。そりゃ光栄だ」

「なによデレデレしちゃって」

なんかモヤモヤと胸の中でなにかが燻っている。

「閉店後ならいいだろ。そろそろちょうどかけ直したかったし」

閉店後ならいいか。

「そだね。んじゃ今度してあげるね。またスペインカール? カットはした方が良さそう」
< 85 / 268 >

この作品をシェア

pagetop