俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
「ねぇ。それ、お客さんにも言ってんの? 勘違いされるよ?」

「は?」

「え?」

大地が大きなため息をついた。

「言わねえよ。ったく。予想以上に難攻不落だなこりゃ」

とかなんとかごにゃごにゃ言ってる。

「まずいーや。ほれ、片付けすんぞ」

「はーい。ありがとね大地! めっちゃ気に入った」

「ああ。俺も。さんきゅな」

片付けも終わり、材料費を納めて店を出ようとした時アシスタントの三人が入ってきた。

げ!

「お疲れ様です。これから練習?」

「あ、美空さん⁈ お疲れ様です! は、はい! 髪変えたんですね! ステキすぎます!」

「あはは! ありがとう。練習か。えらいえらい! 頑張ってね! それじゃお先に失礼します」

「あ、はい! ありがとうございます! あの…そちらは…」

げげ!
やっぱり聞かれた。
しかも顔を赤くして、恥ずかしそうにモジモジしちゃってるよこの子たち。

大地を見れば、ふたりの時とはうってかわって涼しい顔をしている。
が、私にはわかる。
これは笑いを必死にこらえているやつだ。
ギロっとアシスタントの子たちにバレないように睨む。
< 93 / 268 >

この作品をシェア

pagetop