俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい


発車してまもなくショップ近くのコインパーキングに車を止めて、ふたりで並んで歩く。
服は、午前中に着たのと同じだけど、髪型が変わって全然違う印象になっている。

またすれ違いざまに、ジロジロ見られる。

「大地ー。また見られてるよね?」

「だな。俺がカッコいいからだろ」

あー、なるほど。
はいはい。

「自分で言うなや。カッコいいけどさ」

「どーも。ほれ、お前またぶつかる」

そう言って腕を引っ張られたと思えば、そのまま手を繋がれた。

「ねぇ。手繋がなくてよくない?」

「危なっかしくてダメだ。おてて繋いでてあげるから、前見て歩け」

大地の手は見た目よりも大きく感じた。
手を繋いだまま持ち上げて眺める。

「大地の手、大きいね」

「お前はちっこいな」

そう言って、私を見下ろしてニギニギっとした。

「そうかな? 大きいって言われるよ?」

「俺より小さい」

「ねぇ。そこで張り合わないでよ」

「張り合ってねぇよ。ちっこくてかわいいなって思っただけ」

「あ、そう。私がかわいいの気づいちゃった?」

おどけてみせる。

「ああ。その通り」

サラッとそんな事を言ってくる。
なんか大地、どうしちゃったの?
午前中の買い物の後からいつもと違くない?
甘いというか…
なんというか…
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