俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
え、待って。めっちゃカッコいいんだが⁈
「どう?」
「ヤバいわ。私、天才だわ」
パチパチと拍手した。
「いやいや、そこは着こなしてる俺を褒めろよ」
「ははは! これ付けてみて」
近くにあった、薄いオレンジのレンズの丸いサングラスを渡す。
「ねぇ。ヤバいって。私コーディネーターいけるわ」
「いやいや。だから、俺を褒めろっつーの」
お互い笑いが止まらない。
絶対に褒めない私と、褒めろと騒ぐ大地。
周りで見ているスタッフも肩を揺らして吹き出しそうになっている。
「もういーわ。はーおかし」
そう言って、シャーっと試着室にまた入って行った。
待ってる間にスタッフに話しかけられる。
「彼氏さん、素敵ですね! 彼女さんも! お店に入ってきた時お似合いすぎて驚いちゃいました!おふたりともモデルさんですか?」
「え⁈ いやいや! 都内で美容師してるんです。良かったら是非」
そう言ってちゃっかり自分の名刺を渡した。
すると後ろから着替え終えた大地がやってきた。
「おいおい。抜け駆けか? 俺のも。うちのサロンにも是非」
そう言ってニコっと笑って名刺を渡した。