乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~
3-1
「宮子さん、元気そうでよかった・・・!」

「いろいろ心配かけちゃってごめんなさい!」

予報でも朝から生憎だった空模様。彼女との待ち合わせは、とあるショッピングビル内のオープンカフェの前。お互いに姿を見つけると笑顔で駆け寄った。

ゆるふわのセミロングをひとつに結び、控えめメイクの織江さんは、スキッパーブラウスにフレアスカートの清楚なスタイルで。いつ会っても優しく澄んだ透明美人。こういうお姉さん、本気で欲しかった。

ちなみにあたしは妹らしく?ランタンスリーブのカットソーにワイドパンツ、足元はデッキシューズのカジュアル目。雨じゃなかったらね、サンダルにしたかったんだけど。

高い吹き抜けとガラス張りのドーナツ型ホールは、まだ11時を回ったくらいなのに席があっという間に埋まってく。

向かい合った織江さんの後ろ斜め方向に案内された、黒スーツとラフな格好の二人組がどうしても目に付くのは見ないフリ。

キッシュと、三種類から選べるベーグルサンドのランチセットをオーダーし、前菜のサラダをつつきながら素直な感想が漏れた。

「なんか浦島太郎な気分です。カフェでランチとか久しぶりすぎて」

「わたしも藤君と子供達がいつも一緒だから、少し気後れしてるかも」

織江さんはクスクスと笑みをほころばせる。

(わたる)さんが気兼ねしないで楽しんでこいって言ってくれたの。藤君がいてくれるおかげで安心してみんな任せられるし、ふつうのお母さん達よりずっと恵まれてるわ、わたし」
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