乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~
おばあちゃんにお土産を分けたついでに、榊も同伴して夕ご飯をもらい、哲っちゃんちに戻る途中で事務所に寄る。

『お疲れ様です宮子お嬢!』

榊の後ろにくっついて中に入ってくと、あたしに気付いた若衆が次々と立ち上がって勢いよく頭を下げてくれる。

にっこり笑って、そこそこ年長っぽい(いか)ついお兄さんに買ってきた差し入れを手渡した。

「こんばんは。よかったら皆さんでどうぞ」

「あざっス!!真さんは奥にいますんで!」

前は、パーティションで仕切ったひと坪くらいのスペースが真専用の個室だったけど。今はきちんと小部屋に改築されて広くなったオトナの秘密基地。

「真ー?入るからね」

どうせ防犯カメラのモニターで丸映りなんだろうから、遠慮なく扉を開けて。

「おかえり。楽しかった?」

「初デートだったし、すっごく!」

ゲーミングチェアをゆっくり回転させてこっちを向いたダンナ様が、あたしを引き寄せ左腿のうえに座らせた。

「藤代さんから電話きたよ。オリエさんが息抜きしすぎて使いものになんないってさ」

思わず吹き出す。言い方!藤さんらしいったら。

「また誘ってやりな。宮子からだったら筋も通るんじゃねーの?」

コケティッシュな笑い顔が返事の代わりにキスを盗んでく。
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