乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~
フタを開ければ結局いちばん大甘な、仁兄と顔を合わせる朝も増えた。あの襲撃に壊された日常が戻ってきてた。

もちろん戻らないモノだってある。あるけど、欠けたとこを埋める方法がきっとある。見つける。絶対。

・・・だから榊が自分を欠陥品扱いしてるのが悲しくて口惜しかった。

「宮子ちゃんおはよう。真はご飯?パン?」

「んー、メシでいーよ」

キッチンから笑顔をのぞかせたママを手伝い、朝ご飯をお腹におさめた後はソファに移って、みんなとくつろぐ。

「あのさ。榊のことなんだけど」

話の切れ間、スマホをいじる隣りへさり気なく。榊が昨日のことを黙ってるはずないし、あたしが白状するのを真は待ってるんだと思った。

「榊は今日は定期検査だ。出かけるのか?角を呼ぶから待ってろ」

「検査って・・・病院?だったらいいよ、出かけたいわけじゃないから大丈夫!」

予定を訊きたかったわけでもないけど、答えてくれた仁兄をとりあえず笑って誤魔化した。

「どーせなら三日くらい入院して、きっちりメンテしろって俊哉に言ってあるからさ。車出したかったら、オレか仁兄に言いな」

「あ、うん、そうする」

アイドル顔を振り向け、あたしの頭を軽くぽんぽんする真。・・・あれ?
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