乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~
「ちゃんとあたしにも分けてよ、全部よこせなんて言わないから・・・っ」
半笑いの顔が歪む。
みんなが雨に濡れてるなら、同じ雨に打たれるのに。ひとりだけ濡れない屋根の下にいようなんて、思うわけないのに。
真はそれまで逸らさなかった眼差しを一瞬だけ伏せ、おもむろに口を開いた。
「ゆうべオレが出かけたあと、俊哉が急に動けなくなったって連絡きたんだよ。どっか痛いのか訊いても、オマエには言うなってそれしか言わないって、葛西さんのが泣きそーでさ」
・・・だれの心配してんのよ、自分の心配しなさいよ、なにやってんの榊のばか!
「弾キズの後始末じゃ松田センセイに無理も通せねーし、志信さんのツテでモグリの医者に運んだ。今は落ち着いてる、アイツだから大丈夫」
伸びてきた腕でぎゅっと握られたあたしの両手。
「のけ者にしてごめん。・・・けどオレも俊哉も、オマエの手を傷だらけにしてまで分けてやりたくねーの。知らないで笑ってていーんだよ宮子は」
「そ・・・」
あとの言葉が出てこなかった。真の眼を見ればわかる、どれだけ真剣に伝えてくれてるか。どれだけあたしを大事に想ってくれてるか、胸が千切れそうに。
だけど叫んでる。奥底から込み上がる。
ちがうよ真。
同じ傷だったら平気なんだよ。
痛くたって笑えるんだよ・・・!
半笑いの顔が歪む。
みんなが雨に濡れてるなら、同じ雨に打たれるのに。ひとりだけ濡れない屋根の下にいようなんて、思うわけないのに。
真はそれまで逸らさなかった眼差しを一瞬だけ伏せ、おもむろに口を開いた。
「ゆうべオレが出かけたあと、俊哉が急に動けなくなったって連絡きたんだよ。どっか痛いのか訊いても、オマエには言うなってそれしか言わないって、葛西さんのが泣きそーでさ」
・・・だれの心配してんのよ、自分の心配しなさいよ、なにやってんの榊のばか!
「弾キズの後始末じゃ松田センセイに無理も通せねーし、志信さんのツテでモグリの医者に運んだ。今は落ち着いてる、アイツだから大丈夫」
伸びてきた腕でぎゅっと握られたあたしの両手。
「のけ者にしてごめん。・・・けどオレも俊哉も、オマエの手を傷だらけにしてまで分けてやりたくねーの。知らないで笑ってていーんだよ宮子は」
「そ・・・」
あとの言葉が出てこなかった。真の眼を見ればわかる、どれだけ真剣に伝えてくれてるか。どれだけあたしを大事に想ってくれてるか、胸が千切れそうに。
だけど叫んでる。奥底から込み上がる。
ちがうよ真。
同じ傷だったら平気なんだよ。
痛くたって笑えるんだよ・・・!