【移行予定】擬似的なシンメトリー
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青白い顔をした少年が爪を立て、トントントンと、一秒間に二回のペースで机を叩いている。
この世のすべてに絶望したような面持ちの少年は、精悍な顔つきの若手刑事と無精ひげを生やしたぶっきらぼうな刑事から執拗な尋問を受けているが、とても十六歳とは思えない達観した態度で相手を苛立たせている。
『俺がやりました。……こう言えばいい?』
一切の感情を取り払ったセリフ。わたしはごくりと意味もなくのどを鳴らした。
「すごいなぁ……恭くん」
気づけばそんなひとり言を漏らしていた。
「お褒めいただいてうれしいけど、絢音。そろそろ話してもいいかな?」
「えっ、あ、ごめん」
わたしはテレビの電源を切って、体を隣に向けた。
ドラマを観るのが日課の高校二年生。子どもの頃から変わらないボブカットがお気に入りのヘアスタイルで、自分で言うのもなんだけど笑顔が似合う女子。
それがわたし、柏井絢音。
隣に座るのは、幼なじみの五十嵐恭花くん。黒髪が似合う超かっこいい男の子で、わたし以上に笑顔がすてきな人だ。
恭くんはふたつの顔を持っていて、ひとつはわたしと同じ高校二年生の顔。
そしてもうひとつが、特撮ドラマの主役に決まったばかりの現役俳優さんの顔だ。
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