【移行予定】擬似的なシンメトリー
さらに翌日、マスクをして涼くんの前に立つ。
「なんなの?」
「もうこうなったら涼くんを力尽くでも連れ戻すことにした」
涼くんはわたしを壁に押しつけると、体を支える片方の脚を持ち上げた。
「マジで俺に犯されてーの?」
「ううん」
持ち上げるだけでさすがにそれ以上なにかしてくることはなかったけれど、マスク越しにわたしの鼻をつまんで心からの冷笑を送ってきた。
「もうほんと面倒くさい」