【移行予定】擬似的なシンメトリー
「インターネットの番組。『僕たちは好きと叫びたい。』ってタイトルの略称で、恋愛リアリティーショーって言うんだっけ? 現役高校生のリアルな恋愛を楽しむ番組だよ」
女子中高生を中心に人気を集める番組で、クラスの女子のほとんどが観ているほど人気かつ、友達同士の輪や流行から乗り遅れないように好きでなくても観る人がいるくらい知られている番組だ。
現役の高校生であるモデルや俳優、ちまたで話題の一般人が出演し、男女七人の恋模様をドキュメンタリー風に追いかけ、時に恋のバトルを繰り広げたりしてカップル成立を目指す。
これまで数シリーズが配信されている。
「それに恭花が出るの?」
「みたい」
「恋愛ってガチのやつ?」
「うん、たぶん」
出演者の本当の思惑なんて知りようがないけれど、たとえ恭くんのように知名度アップを狙って出演するとしても、人を好きなるのはガチだと思う。
「キス、とかはないんだけどさ、手を繋いだりハグしたりっていうイチャイチャはふつうにあって、カップルになったら番組が終わった後もファッションショーに出たりして、しばらくはそういう関係が続く」
恭くんは仕事だと割り切ったと言っていたけど、割り切った上で彼女を作ろうとしているんだ。きっと、どんなことでもする。
好きにならなければいけないなら、きっと本気で相手を好きになることも……。
「泣いてんの?」
「泣いてないよ」
「なら、その涙はなに?」
「えっ?」
涼くんに言われて自分の頬に触れると、濡れていた。