鉄仮面CEOの溺愛は待ったなし!~“妻業”始めたはずが、旦那様が甘やかし過剰です~
社長は微かに表情を動かしたあと、小さく首を振る。
「手に触れてもいいだろうか」
「手? ……はい、大丈夫です、が……?」
不思議に思いながら返事をすると、社長は私の手を取ってきゅっと握った。
「守り切れなくて、すまなかった」
真摯な視線に射抜かれて、うまく息継ぎができない。
「もうあんな目に遭わせないと約束する。これからは必ず守る」
うまく息ができない私は、なんだか目の奥が熱くてしかたない。
きゅっと噛んだ唇を、社長が男性らしい硬い指先で優しく撫でる。
「噛むな」
返事をしようとして息を吸い込んで、そのまま決壊するみたいに涙が零れ落ちてしまった。
どうしよう、我慢しきれなかった。
「は、う、も、申し訳ございません……っ」
「構わない」
そう言って社長は立ち上がり、もう一度私に聞く。
「君に触れる許可をくれないか」
混乱しつつ頷き返すと、社長は私をぎゅうっと抱きしめた。
安心感のある、たくましい身体。温かな体温、微かに聞こえる息遣い。
「大丈夫だ、もう大丈夫」
耳元で聞こえる落ち着いた低い声に、気が付けば子どもみたいに泣きじゃくってしまっていた。
そんな私の背中や後頭部を、社長は優しくぽんぽんと撫でる。
指先から伝わる確かな慈しみに、肋骨の奥がきゅうっと切ない。
「それから、ありがとう」
その言葉の意味は、よくわからない。
ただ疑問はもうきちんとした言葉になってくれなかった。ただ安心する体温に包まれ、泣き続ける。
どれくらいそうしていただろうか。
ようやく泣き止みかけた私は、はっと気が付く。社長のスーツ、私の涙で濡らしてしまった。
「は、あ、あの、申し訳ありませ……!」
ばっと顔を上げると、至近距離に社長の最高に整ったかんばせがあった。
半分意識が飛ぶ。
かっこよすぎる。
なんですかこの精悍さは……!
思っていた以上にまつ毛が長い。少し狭めの二重が、切れ長の怜悧な目をよりシャープに見せている。
そして鼻が! 鼻が高い! 彫りが深い!
見惚れてしまっている私の眼前で、ゆっくりと目元が綻んだ。
思わず「知らなかった」と息を呑んだ。
この距離でようやくわかるほどの、ほんのちょっとの笑いじわができている。
か、かわいい。かわいいです社長……っ!
心臓がキュンで停止しそうになっている私の目元を、社長の硬い指先が擦る。
「もう大丈夫そうだな」
「手に触れてもいいだろうか」
「手? ……はい、大丈夫です、が……?」
不思議に思いながら返事をすると、社長は私の手を取ってきゅっと握った。
「守り切れなくて、すまなかった」
真摯な視線に射抜かれて、うまく息継ぎができない。
「もうあんな目に遭わせないと約束する。これからは必ず守る」
うまく息ができない私は、なんだか目の奥が熱くてしかたない。
きゅっと噛んだ唇を、社長が男性らしい硬い指先で優しく撫でる。
「噛むな」
返事をしようとして息を吸い込んで、そのまま決壊するみたいに涙が零れ落ちてしまった。
どうしよう、我慢しきれなかった。
「は、う、も、申し訳ございません……っ」
「構わない」
そう言って社長は立ち上がり、もう一度私に聞く。
「君に触れる許可をくれないか」
混乱しつつ頷き返すと、社長は私をぎゅうっと抱きしめた。
安心感のある、たくましい身体。温かな体温、微かに聞こえる息遣い。
「大丈夫だ、もう大丈夫」
耳元で聞こえる落ち着いた低い声に、気が付けば子どもみたいに泣きじゃくってしまっていた。
そんな私の背中や後頭部を、社長は優しくぽんぽんと撫でる。
指先から伝わる確かな慈しみに、肋骨の奥がきゅうっと切ない。
「それから、ありがとう」
その言葉の意味は、よくわからない。
ただ疑問はもうきちんとした言葉になってくれなかった。ただ安心する体温に包まれ、泣き続ける。
どれくらいそうしていただろうか。
ようやく泣き止みかけた私は、はっと気が付く。社長のスーツ、私の涙で濡らしてしまった。
「は、あ、あの、申し訳ありませ……!」
ばっと顔を上げると、至近距離に社長の最高に整ったかんばせがあった。
半分意識が飛ぶ。
かっこよすぎる。
なんですかこの精悍さは……!
思っていた以上にまつ毛が長い。少し狭めの二重が、切れ長の怜悧な目をよりシャープに見せている。
そして鼻が! 鼻が高い! 彫りが深い!
見惚れてしまっている私の眼前で、ゆっくりと目元が綻んだ。
思わず「知らなかった」と息を呑んだ。
この距離でようやくわかるほどの、ほんのちょっとの笑いじわができている。
か、かわいい。かわいいです社長……っ!
心臓がキュンで停止しそうになっている私の目元を、社長の硬い指先が擦る。
「もう大丈夫そうだな」