鉄仮面CEOの溺愛は待ったなし!~“妻業”始めたはずが、旦那様が甘やかし過剰です~
玲司さんはさらりとそんなことを言う。
彼は多分、自覚してない。
あなたの言葉がどれだけ私の感情を揺さぶるかってことに……!
ゆっくりとお寿司を食べ終わったころ、三河安城を通過しましたとアナウンスが入った。
なにげなく窓の外を向き、それから手元を眺め、落ち着きなくタンブラーの緑茶を口に含む。
「どうした?」
ひょい、と私を覗き込んでくる玲司さんの整いすぎているかんばせを見上げ、私は「そのう」と小さく声を出した。
「大したものじゃないんです。ほんとに……なにかお礼ができないかって、考えて」
「……お礼?」
玲司さんは目を丸くした。
あっまた激レア表情です……たまんないなあ。
推しのびっくり顔を心のアルバムに収めつつ、私は鞄から小さな白い袋を取り出した。表に落ち着いた赤い字でお昼に行った神社の名前が書いてある。それを玲司さんの手に押し付けるようにして渡した。
「健康御守」
そう読み上げて玲司さんは何度か目を瞬いた。それから私の顔を見て、もう一度お守りに目をやる。
「いつの間に……」
「そ、その。色々考えたんですけど、やっぱり私にとって玲司さんが元気でいてくれることが一番幸せだなあって……それで。あっもちろん玲司さんが健康管理をきっちりされているのは知っているのですが、あの」
しどろもどろに説明する私から、玲司さんはまたお守りに目を遣り、そうしてゆっくりと柔らかく目を細めた。――本当に嬉しそうに、玲司さんは笑った。
「ありがとう、心春」
私は思わず息を呑んでしまう。
玲司さんが浮かべたのが、あまりにも綺麗で温かい微笑みだったから。
普段、玲司さんのことを冷血だの無表情だの言っている人たちに見せてやりたいと思う。
こんなに優しく笑う人なんだって……あ、ごめんなさいやっぱり嘘、私だけで独占しておきたいです……って、それは変だ。
私にとって玲司さんは推しだ。
彼の素敵なところをたくさんの人に知ってもらいたいって思ってた。
なのにいま、私は、彼を独り占めしたいと思っている。
「……?」
小首を傾げている私に、玲司さんは穏やかに口を開く。
「それにしても、神社もいいかもしれないな」
「え?」
「結婚式。どんなのがいい? 君の希望に沿いたい」
私は目を瞬き、じっと玲司さんを見つめ、小首どころか思い切り首を捻ってしまう。
彼は多分、自覚してない。
あなたの言葉がどれだけ私の感情を揺さぶるかってことに……!
ゆっくりとお寿司を食べ終わったころ、三河安城を通過しましたとアナウンスが入った。
なにげなく窓の外を向き、それから手元を眺め、落ち着きなくタンブラーの緑茶を口に含む。
「どうした?」
ひょい、と私を覗き込んでくる玲司さんの整いすぎているかんばせを見上げ、私は「そのう」と小さく声を出した。
「大したものじゃないんです。ほんとに……なにかお礼ができないかって、考えて」
「……お礼?」
玲司さんは目を丸くした。
あっまた激レア表情です……たまんないなあ。
推しのびっくり顔を心のアルバムに収めつつ、私は鞄から小さな白い袋を取り出した。表に落ち着いた赤い字でお昼に行った神社の名前が書いてある。それを玲司さんの手に押し付けるようにして渡した。
「健康御守」
そう読み上げて玲司さんは何度か目を瞬いた。それから私の顔を見て、もう一度お守りに目をやる。
「いつの間に……」
「そ、その。色々考えたんですけど、やっぱり私にとって玲司さんが元気でいてくれることが一番幸せだなあって……それで。あっもちろん玲司さんが健康管理をきっちりされているのは知っているのですが、あの」
しどろもどろに説明する私から、玲司さんはまたお守りに目を遣り、そうしてゆっくりと柔らかく目を細めた。――本当に嬉しそうに、玲司さんは笑った。
「ありがとう、心春」
私は思わず息を呑んでしまう。
玲司さんが浮かべたのが、あまりにも綺麗で温かい微笑みだったから。
普段、玲司さんのことを冷血だの無表情だの言っている人たちに見せてやりたいと思う。
こんなに優しく笑う人なんだって……あ、ごめんなさいやっぱり嘘、私だけで独占しておきたいです……って、それは変だ。
私にとって玲司さんは推しだ。
彼の素敵なところをたくさんの人に知ってもらいたいって思ってた。
なのにいま、私は、彼を独り占めしたいと思っている。
「……?」
小首を傾げている私に、玲司さんは穏やかに口を開く。
「それにしても、神社もいいかもしれないな」
「え?」
「結婚式。どんなのがいい? 君の希望に沿いたい」
私は目を瞬き、じっと玲司さんを見つめ、小首どころか思い切り首を捻ってしまう。