鉄仮面CEOの溺愛は待ったなし!~“妻業”始めたはずが、旦那様が甘やかし過剰です~
 今度はそっと舌で彼女の唇を撫でた。
 びくりと大げさなほどに心春が肩を揺らす。なだめるように頭を撫で――実のところは逃げられないように固定するため――頭に手を添え、唇を割る。身体が強張るのがかわいそうで、耳を指で撫でれば心春が小さくかわいらしい声を上げる。キスで塞いでいたためにくぐもったその声に、俺はすっかり気をよくした。
 耳殻をゆっくりと撫で、耳朶をくすぐると、ふと心春の唇が開く。すかさず舌を割り入れ、心春の口内を舐め上げる。

「ふ、あ」

 キスのせいで満足に動かせない口で喘ぎ、心春は俺にしがみついた。シャツをきゅっと握りしめる仕草がかわいくて仕方ない。歯列を舐め、口蓋を舌先でつつく。

「ん、ぁ、う」

 あえかな声を上げながら、心春がみじろぎ逃げようとする。俺は笑って両手で頭を包み込むようにしながらキスをさらに深くしていく。
 舌を絡め、付け根をつつき、甘噛みをする。
 心春の縮こまっていた舌先が、舌で愛撫するごとに強張りを解いていく。

 唇を離す。俺を見つめる瞳がとろんとして熱を帯びている。
 俺が身体を起こすと、シャツを掴んでいた心春の両手が心細そうにシーツに落ちる。左手に光る結婚指輪に、やけに独占欲がかきむしられた。もう俺のものになったのに、その証拠の指輪なのに、どうして――。

 どうして、まだ君は俺を男としてみてくれないんだろう。

 焼けこげそうな感情をごまかすように心春の首筋をつう、と指先で撫で、それから鎖骨の上で指を滑らせる。そうして喉の付け根まで動かした指を、俺はゆっくりと下に滑らせる。

「あ……」

 心春が眉を下げ、ただじっと俺を見つめている。指先にどくどくと感じる鼓動に、やけに気がはやる。俺の心拍だって負けないくらいに速い。
 フロントホックの下着を外すと、心春は「ああ」と恥ずかしそうに眉を下げ、両手で胸を隠した。

「見ていたいから外してくれ」
「や、やです……恥ずかしい」

 もっと恥ずかしいことをするのにな、と思うけれど実際口に出すと少し趣味が悪いかと自重した。
 俺は「そうか」と笑って心春の額にキスを落とし、下半身に余計に血が巡っているのを覚える。もう限界寸前だった。
 コルセットの細いリボンを緩め、ホックを外した。薄い腹を手のひらで撫でると、心春が「ひゃっ」と笑う。つい出てしまった声のようだった。

「くすぐったい?」
「は、はい、少し、ふふふ」
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