鉄仮面CEOの溺愛は待ったなし!~“妻業”始めたはずが、旦那様が甘やかし過剰です~
蕎麦といえば和のイメージな私は目を瞠る……と、そもそもガレットだってフランス料理か。
ヨーロッパでは、蕎麦はよく食べる穀物のひとつなのだろう。
「この国では蕎麦がきにしたり、パンに混ぜたりすることが多いそうだ。ほら、このパンも」
「ああ、それで色が……全粒粉なのかと思っていました」
私は手を合わせ、さっそくサンドイッチをいただく。かぷりと噛むと、たしかに蕎麦の風味がする。それがハムやトマトや野菜と上品にマッチしている。
「おいしい」
「心春」
玲司さんが私の口元に手を伸ばし、拭った。離れていった指先に、マヨネーズが付いていた。
「す、すみませんっ。お見苦しいところを……!」
「いや、悪い。俺が君の世話を焼きたいだけだから」
そう言って玲司さんはぺろりと指を舐めた。ひいと声が漏れる。
推しが私の口についてたマヨネーズを舐めているう……!
「うまいな」
「で、ですよね」
自家製なのか、こちらのスタンダードなものなのかわからないけれど、このマヨネーズも絶品なのだ。
シンプルな料理だからこそ、ごまかしがきかないのかもしれない。
「ひと口、食べさせてくれないか」
私は「もちろんです」と頷き、デスクに配膳してもらっていたナイフでサンドイッチを切ろうとする――と、手を優しく抑えられた。
「直接」
「直接?」
意図がわかりかね、首を傾げる。玲司さんはじっと私の目を見て口を開いた。
「君がこのサンドイッチを持ち、俺の口元に運んでくれればそれでいい」
「そ……れは」
ぽかんとしたあと、頬が一気に赤くなる。い、いいいいいい今なんて!
「つまりあーんしてをしてくれ」
きゃあ、なんて黄色い声で叫びそうになって耐える。私が玲司さんに「あーんして」を……?
玲司さんはじっと黙って私を待っている。
「う、うう」
ドキドキしすぎて心臓が唇から飛び出そう。
ちょっと涙目かもしれない。そんな私を見て玲司さんがつぶやく。
「苛めたくなる、ってこういう感情なんだな……」
「ひ、ひどいです玲司さん」
「いい意味でだ」
「いい意味もなにもありません」
熱い頬で唇を尖らせた私に、玲司さんは目を柔らかく細める。そうして「だめなのか」ととっても残念そうな声で言う。
「れ、玲司さん」
「俺は君と新婚らしいことがしたいのに」
「新婚らしいこと……?」
ヨーロッパでは、蕎麦はよく食べる穀物のひとつなのだろう。
「この国では蕎麦がきにしたり、パンに混ぜたりすることが多いそうだ。ほら、このパンも」
「ああ、それで色が……全粒粉なのかと思っていました」
私は手を合わせ、さっそくサンドイッチをいただく。かぷりと噛むと、たしかに蕎麦の風味がする。それがハムやトマトや野菜と上品にマッチしている。
「おいしい」
「心春」
玲司さんが私の口元に手を伸ばし、拭った。離れていった指先に、マヨネーズが付いていた。
「す、すみませんっ。お見苦しいところを……!」
「いや、悪い。俺が君の世話を焼きたいだけだから」
そう言って玲司さんはぺろりと指を舐めた。ひいと声が漏れる。
推しが私の口についてたマヨネーズを舐めているう……!
「うまいな」
「で、ですよね」
自家製なのか、こちらのスタンダードなものなのかわからないけれど、このマヨネーズも絶品なのだ。
シンプルな料理だからこそ、ごまかしがきかないのかもしれない。
「ひと口、食べさせてくれないか」
私は「もちろんです」と頷き、デスクに配膳してもらっていたナイフでサンドイッチを切ろうとする――と、手を優しく抑えられた。
「直接」
「直接?」
意図がわかりかね、首を傾げる。玲司さんはじっと私の目を見て口を開いた。
「君がこのサンドイッチを持ち、俺の口元に運んでくれればそれでいい」
「そ……れは」
ぽかんとしたあと、頬が一気に赤くなる。い、いいいいいい今なんて!
「つまりあーんしてをしてくれ」
きゃあ、なんて黄色い声で叫びそうになって耐える。私が玲司さんに「あーんして」を……?
玲司さんはじっと黙って私を待っている。
「う、うう」
ドキドキしすぎて心臓が唇から飛び出そう。
ちょっと涙目かもしれない。そんな私を見て玲司さんがつぶやく。
「苛めたくなる、ってこういう感情なんだな……」
「ひ、ひどいです玲司さん」
「いい意味でだ」
「いい意味もなにもありません」
熱い頬で唇を尖らせた私に、玲司さんは目を柔らかく細める。そうして「だめなのか」ととっても残念そうな声で言う。
「れ、玲司さん」
「俺は君と新婚らしいことがしたいのに」
「新婚らしいこと……?」