鉄仮面CEOの溺愛は待ったなし!~“妻業”始めたはずが、旦那様が甘やかし過剰です~
玲司さんの声に我に返る。心配してくれている彼にこれを伝えたほうがいいのかな?
でも自分が妻に選んだ女が、他の男からは大して評価されていない痛い女だというのは、もしかして面白い話ではないかもと思うと、どうにも口が重くなる。
「私とでよいのでしょうか」
「他に誰と新婚旅行に行くんだ」
玲司さんは優しく眉を下げて私の頭を柔らかく叩く。私も笑った。たしかに、新婚旅行なのだものな。
「どこがいいでしょうね」
「そのためには、もう少し避妊しないとな」
「げほげほげほ」
思わずむせてしまう。こ、こんな爽やかなところでなにを……っ。
「どうしたんだ? 昨日もちゃんと避妊しただろう」
「そ、そうですがっ」
「妊娠していると旅行はちょっとな……なにがあるかわからないし心配だ。ああでも、君が早く子どもが産みたいというのなら」
うちの会社は産休も育休もしっかりしている、と玲司さんは目を細めた。うん、それはそうなのだけれど。
「い、いえ。授かりものですからわかりませんが、けれど今すぐに欲しいというわけでは」
「なら少し余裕を持とう」
そう言う玲司さんに、おずおずと頷く。ちょっと嬉しい気持ちにもなった。
玲司さんとの子どもなんて想像もしたことがなかったけれど、きっとすごく愛おしくて、かわいいんだろう。
「……嬉しそうだな」
「あんまり考えたことはなかったんですけど、私、赤ちゃん楽しみです」
玲司さんは目を丸くして、それから笑った。
「俺もだ」
少し気恥ずかしくて、くすぐったい気持ちでいっぱいになって、湖に目を逸らす。
玲司さんが私の頬を撫でる。そっと目を向けると、とても優しい瞳をしていた。
ゆっくりと唇が近づい――たところで、携帯がけたたましく鳴った。
「誰だ」
玲司さんが残念そうな顔をして携帯を取り出す。
そうして一瞬、ほんの一瞬だけ目を見張り、けれどすぐに表情を平素のものに――つまり、クールなものに――変えて通話に出た。さっきまでの優しく穏やかなものから一変した表情と雰囲気に知らず背筋を正す。
仕事のことだろうか。
よほどの緊急でない限り連絡しないよう手配をしていたのに。
けれど聞こえてきたのは「どうした、兄貴」という玲司さんの言葉だった。
お兄様?
でも自分が妻に選んだ女が、他の男からは大して評価されていない痛い女だというのは、もしかして面白い話ではないかもと思うと、どうにも口が重くなる。
「私とでよいのでしょうか」
「他に誰と新婚旅行に行くんだ」
玲司さんは優しく眉を下げて私の頭を柔らかく叩く。私も笑った。たしかに、新婚旅行なのだものな。
「どこがいいでしょうね」
「そのためには、もう少し避妊しないとな」
「げほげほげほ」
思わずむせてしまう。こ、こんな爽やかなところでなにを……っ。
「どうしたんだ? 昨日もちゃんと避妊しただろう」
「そ、そうですがっ」
「妊娠していると旅行はちょっとな……なにがあるかわからないし心配だ。ああでも、君が早く子どもが産みたいというのなら」
うちの会社は産休も育休もしっかりしている、と玲司さんは目を細めた。うん、それはそうなのだけれど。
「い、いえ。授かりものですからわかりませんが、けれど今すぐに欲しいというわけでは」
「なら少し余裕を持とう」
そう言う玲司さんに、おずおずと頷く。ちょっと嬉しい気持ちにもなった。
玲司さんとの子どもなんて想像もしたことがなかったけれど、きっとすごく愛おしくて、かわいいんだろう。
「……嬉しそうだな」
「あんまり考えたことはなかったんですけど、私、赤ちゃん楽しみです」
玲司さんは目を丸くして、それから笑った。
「俺もだ」
少し気恥ずかしくて、くすぐったい気持ちでいっぱいになって、湖に目を逸らす。
玲司さんが私の頬を撫でる。そっと目を向けると、とても優しい瞳をしていた。
ゆっくりと唇が近づい――たところで、携帯がけたたましく鳴った。
「誰だ」
玲司さんが残念そうな顔をして携帯を取り出す。
そうして一瞬、ほんの一瞬だけ目を見張り、けれどすぐに表情を平素のものに――つまり、クールなものに――変えて通話に出た。さっきまでの優しく穏やかなものから一変した表情と雰囲気に知らず背筋を正す。
仕事のことだろうか。
よほどの緊急でない限り連絡しないよう手配をしていたのに。
けれど聞こえてきたのは「どうした、兄貴」という玲司さんの言葉だった。
お兄様?