鉄仮面CEOの溺愛は待ったなし!~“妻業”始めたはずが、旦那様が甘やかし過剰です~
飛行機で今朝空港に着き、そのまま出社して――さすがに早く帰宅したから、まだ窓の祖には夕陽が見えていた。
玲司さんはワイシャツを腕まくりし、スラックス姿のまま手早く料理を作ってくれている。
「男と女じゃ体力が違うだろ」
端的に断言され、とはいえ本当のことなのでうまく言い返せない。玲司さんは穏やかに笑う。
「俺は君を甘やかしたい。好きなようにさせてくれ」
「ですが……」
私は眉を下げてしまう。
「じ、じゃあ、手伝うくらいはさせてください」
「わかった」
私は頷き、食器棚からコップやお皿を取り出していく。
「まだ食器がガラガラだな」
ふと隣に立った玲司さんが、大皿を取り出しながら言う。
「すこしずつ増やしていこう」
そう言う彼の目が優しくて、ほんとうに慈しみが深くて、私はこくこく頷いた。なんだかとっても素敵な未来が待っているような気がした。
翌週になると、浦田さんが秘書室まで来てくれた。
「すてきな式だったー。もうほんっとに。しかも地中海周遊までプレゼントしてくれるなんて。本当にありがとう」
結婚式に来てくれた方々に、玲司さんは旅行をプレゼントしていたのだ。お義母さんがた――つまり、会長夫妻――はお忙しいとのことで、私達より早く帰国してしまったけれど。
私は書類を整理する手を止め「いえいえ」と手を振る。
「玲司さんからですから。私はなにも」
「夫婦なんだから一緒よ。ああ楽しかった~」
浦田さんはそう言ってから、ふと私の方に身を寄せてくる。
「ところで、聞いた? 藤木くんがトップから陥落しそうだって。ま、月間だけだけど」
「え!」
私は目を丸くした。藤木さんとは、私がかつて営業アシスタントとしてサポートしていた営業部のエースだ。ここしばらくトップを維持し続けてきた彼が、ひと月とはいえ営業成績で抜かれるだなんて。
「調子が悪かったのでしょうか」
かつては二人三脚で働いていたこともあり少し心配になってしまう私に、浦田さんは「ううん」と首を振る。
「違うの。普通に藤木くんだって悪くなかったはず」
「ええっ」
私はパソコンのキーボードを急いで叩いた。社内クラウドに営業部からの速報が上がってきていた。
数分前に更新されたばかりのほかほか情報だ。
暫定だけれど、昼休みが終わる前に資料をまとめておこう、とマウスでスクロールさせる。
玲司さんはワイシャツを腕まくりし、スラックス姿のまま手早く料理を作ってくれている。
「男と女じゃ体力が違うだろ」
端的に断言され、とはいえ本当のことなのでうまく言い返せない。玲司さんは穏やかに笑う。
「俺は君を甘やかしたい。好きなようにさせてくれ」
「ですが……」
私は眉を下げてしまう。
「じ、じゃあ、手伝うくらいはさせてください」
「わかった」
私は頷き、食器棚からコップやお皿を取り出していく。
「まだ食器がガラガラだな」
ふと隣に立った玲司さんが、大皿を取り出しながら言う。
「すこしずつ増やしていこう」
そう言う彼の目が優しくて、ほんとうに慈しみが深くて、私はこくこく頷いた。なんだかとっても素敵な未来が待っているような気がした。
翌週になると、浦田さんが秘書室まで来てくれた。
「すてきな式だったー。もうほんっとに。しかも地中海周遊までプレゼントしてくれるなんて。本当にありがとう」
結婚式に来てくれた方々に、玲司さんは旅行をプレゼントしていたのだ。お義母さんがた――つまり、会長夫妻――はお忙しいとのことで、私達より早く帰国してしまったけれど。
私は書類を整理する手を止め「いえいえ」と手を振る。
「玲司さんからですから。私はなにも」
「夫婦なんだから一緒よ。ああ楽しかった~」
浦田さんはそう言ってから、ふと私の方に身を寄せてくる。
「ところで、聞いた? 藤木くんがトップから陥落しそうだって。ま、月間だけだけど」
「え!」
私は目を丸くした。藤木さんとは、私がかつて営業アシスタントとしてサポートしていた営業部のエースだ。ここしばらくトップを維持し続けてきた彼が、ひと月とはいえ営業成績で抜かれるだなんて。
「調子が悪かったのでしょうか」
かつては二人三脚で働いていたこともあり少し心配になってしまう私に、浦田さんは「ううん」と首を振る。
「違うの。普通に藤木くんだって悪くなかったはず」
「ええっ」
私はパソコンのキーボードを急いで叩いた。社内クラウドに営業部からの速報が上がってきていた。
数分前に更新されたばかりのほかほか情報だ。
暫定だけれど、昼休みが終わる前に資料をまとめておこう、とマウスでスクロールさせる。