鉄仮面CEOの溺愛は待ったなし!~“妻業”始めたはずが、旦那様が甘やかし過剰です~
ふと、玲司さんの奥さんにはこんな人の方が良かったんじゃと思ってしまう。
サポートするだけじゃなくて、横で胸を張って歩いて行けるかっこいい女性……。
私はそれができるだろうか? 答えは否だ。自分でも私が「縁の下の力持ちタイプ」だというのは痛感している。
「心春は家どっち?」
乃愛ちゃんの言葉にハッとした。
「心春?」
「あ、なんでも。ごめんね。ええと」
駅名を答えると、乃愛ちゃんは目を丸くする。
「え、高級住宅地じゃん。いーなー。……ていうか指輪! 結婚したの?」
「そうなの」
「へー……じゃ、いま心春が住んでる家も旦那さんが?」
頷けば、乃愛ちゃんはにっこりと私を見つめる。
「ね、良ければ旦那さん紹介してほしいな。心春の旦那さん、会ってみたいよ」
「ええっ」
「だめ? おうち、行ってみたい」
私は曖昧に首を傾げた。いいのかな、家に招待なんかして。
結局「相談してみる」と話をまとめて、別の路線だという乃愛ちゃんを見送った。
帰宅して夕食を作って待つ。
帰国してずっと二人そろって多忙だったために、帰国初日を除いてデリか外食になってしまっていたのだ。
なので私ひとりで作る手作りの夕食は初めてとなる。
といっても簡単なものだ。
ご飯に、豚肉メインの炒め物に、蒸しナスの和え物、サラダ、それからお味噌汁。
サラダは住んでいたマンションから持ってきたプランターの野菜を使っている。
とりたてだからおいしそうだけれど、……あれ。
ダイニングテーブルに並べたそれらを眺め、違和感に私は小首を傾げる。
「……あれ、庶民すぎ?」
さあっと血の気が引いた。玲司さんはなんでもいいと言うから、そうだ疲労回復を狙って豚肉たっぷりにして、夏だしさっぱりとおナス、なんて考えていたらこんなメニューに……。
「せ、せめて作ってる間に気が付こうよ、私……」
がくりとテーブルに手をつきうなだれた。玲司さんびっくりするよね……「で、メインは?とかって聞かれてしまいそう。
なんか、乃愛ちゃんならこういうのもソツなくこなすんだろうな。
誰に比べられたわけでもないのに頭の中で勝手に比べて落ち込んだ。
こんなのよくないよね。
うじうじしてて嫌だ。
私は頬をぱちんと両手で挟んだ。
「よし、いまから牛肉買いにいこう」
時間はないけれど、焼くくらいならできそう。
大事なのはやる気だ。
サポートするだけじゃなくて、横で胸を張って歩いて行けるかっこいい女性……。
私はそれができるだろうか? 答えは否だ。自分でも私が「縁の下の力持ちタイプ」だというのは痛感している。
「心春は家どっち?」
乃愛ちゃんの言葉にハッとした。
「心春?」
「あ、なんでも。ごめんね。ええと」
駅名を答えると、乃愛ちゃんは目を丸くする。
「え、高級住宅地じゃん。いーなー。……ていうか指輪! 結婚したの?」
「そうなの」
「へー……じゃ、いま心春が住んでる家も旦那さんが?」
頷けば、乃愛ちゃんはにっこりと私を見つめる。
「ね、良ければ旦那さん紹介してほしいな。心春の旦那さん、会ってみたいよ」
「ええっ」
「だめ? おうち、行ってみたい」
私は曖昧に首を傾げた。いいのかな、家に招待なんかして。
結局「相談してみる」と話をまとめて、別の路線だという乃愛ちゃんを見送った。
帰宅して夕食を作って待つ。
帰国してずっと二人そろって多忙だったために、帰国初日を除いてデリか外食になってしまっていたのだ。
なので私ひとりで作る手作りの夕食は初めてとなる。
といっても簡単なものだ。
ご飯に、豚肉メインの炒め物に、蒸しナスの和え物、サラダ、それからお味噌汁。
サラダは住んでいたマンションから持ってきたプランターの野菜を使っている。
とりたてだからおいしそうだけれど、……あれ。
ダイニングテーブルに並べたそれらを眺め、違和感に私は小首を傾げる。
「……あれ、庶民すぎ?」
さあっと血の気が引いた。玲司さんはなんでもいいと言うから、そうだ疲労回復を狙って豚肉たっぷりにして、夏だしさっぱりとおナス、なんて考えていたらこんなメニューに……。
「せ、せめて作ってる間に気が付こうよ、私……」
がくりとテーブルに手をつきうなだれた。玲司さんびっくりするよね……「で、メインは?とかって聞かれてしまいそう。
なんか、乃愛ちゃんならこういうのもソツなくこなすんだろうな。
誰に比べられたわけでもないのに頭の中で勝手に比べて落ち込んだ。
こんなのよくないよね。
うじうじしてて嫌だ。
私は頬をぱちんと両手で挟んだ。
「よし、いまから牛肉買いにいこう」
時間はないけれど、焼くくらいならできそう。
大事なのはやる気だ。