鉄仮面CEOの溺愛は待ったなし!~“妻業”始めたはずが、旦那様が甘やかし過剰です~
エースである藤木さんのアシスタントになった当初はよかった。
成績がさらに上がった藤木さんも『君と組めてよかった』と感謝してくれたし、仕事もやりがいがあって……ただ、藤木さんに振られたという女性職員とそのお友達の皆様から、もうびっくりするくらいの嫌がらせを受けはじめた。
報連相がスムーズにいかなくなり、ランチをはぶられ、私物がなくなり、それどころか大事な書類をシュレッダーされ……それでもなんとか仕事を続けられたのは「負けてたまるか」という雑草魂と育休から復帰した浦田さんの存在があったからだ。
なにかにつけて庇ってくれた彼女だけれど、さすがに上司からは庇いきれなかった……ようだ。
ちょうどその頃、課長から『課内でトラブルを起こしているから』と私に何度かヒアリングされた。
最初はこれでなんとかなるのではと思っていたのだけれど、私のなにがよかったのか、課長に不倫を迫られた。
その場で断ったところ、意趣返しのようにパワハラとセクハラが繰り返されるようになった。
いかな雑草を自負する私でも、耐えきれなくなった――矢先に、私は副社長室に呼び出された。当時の副社長が、何を隠そう本城玲司現社長、その人だった。
『今回のことに関しては気が付けなかった俺に責任がある。すまなかった』
そう言って本城社長は――当時は副社長だったのだけれど――頭を深々と下げてくれた。
その横で課長と、私に嫌がらせをしていた女性の先輩が真っ青を通り越して真っ白な顔色で、土下座せんばかりの勢いで私に頭を下げてきた。
このふたりは、この直後に懲戒処分となったらしい。
そうして再び平穏を取り戻した日常で、私には新しい日課ができた。
本城社長の観察だ。
私を救ってくれた救世主たる本城社長を、私はすっかり敬愛するようになっていた。
一日に一度でいい、なんとか視界に収めたい。
眼球が祝福される。
そうしていつの日か、必ず恩返しをするのだ。
そんな私に、新しくやってきた大変有能な課長経由で打診があったのだ。『本城副社長の秘書を務める気はないか?』と。
私のアシスタントとしての能力を買ってくれたとのことだった。
一も二もなく飛びついた。恩返しのチャンスだった。
何が何でもお支えし、盛り立てていくのだと、その日、私は固く誓ったのだ。
私個人の幸福より、本城社長の幸福が優先。本城社長の意思が最優先。
成績がさらに上がった藤木さんも『君と組めてよかった』と感謝してくれたし、仕事もやりがいがあって……ただ、藤木さんに振られたという女性職員とそのお友達の皆様から、もうびっくりするくらいの嫌がらせを受けはじめた。
報連相がスムーズにいかなくなり、ランチをはぶられ、私物がなくなり、それどころか大事な書類をシュレッダーされ……それでもなんとか仕事を続けられたのは「負けてたまるか」という雑草魂と育休から復帰した浦田さんの存在があったからだ。
なにかにつけて庇ってくれた彼女だけれど、さすがに上司からは庇いきれなかった……ようだ。
ちょうどその頃、課長から『課内でトラブルを起こしているから』と私に何度かヒアリングされた。
最初はこれでなんとかなるのではと思っていたのだけれど、私のなにがよかったのか、課長に不倫を迫られた。
その場で断ったところ、意趣返しのようにパワハラとセクハラが繰り返されるようになった。
いかな雑草を自負する私でも、耐えきれなくなった――矢先に、私は副社長室に呼び出された。当時の副社長が、何を隠そう本城玲司現社長、その人だった。
『今回のことに関しては気が付けなかった俺に責任がある。すまなかった』
そう言って本城社長は――当時は副社長だったのだけれど――頭を深々と下げてくれた。
その横で課長と、私に嫌がらせをしていた女性の先輩が真っ青を通り越して真っ白な顔色で、土下座せんばかりの勢いで私に頭を下げてきた。
このふたりは、この直後に懲戒処分となったらしい。
そうして再び平穏を取り戻した日常で、私には新しい日課ができた。
本城社長の観察だ。
私を救ってくれた救世主たる本城社長を、私はすっかり敬愛するようになっていた。
一日に一度でいい、なんとか視界に収めたい。
眼球が祝福される。
そうしていつの日か、必ず恩返しをするのだ。
そんな私に、新しくやってきた大変有能な課長経由で打診があったのだ。『本城副社長の秘書を務める気はないか?』と。
私のアシスタントとしての能力を買ってくれたとのことだった。
一も二もなく飛びついた。恩返しのチャンスだった。
何が何でもお支えし、盛り立てていくのだと、その日、私は固く誓ったのだ。
私個人の幸福より、本城社長の幸福が優先。本城社長の意思が最優先。