鉄仮面CEOの溺愛は待ったなし!~“妻業”始めたはずが、旦那様が甘やかし過剰です~
目を瞬く私に、お母様である会長が私にあんなことを言って理由がようやく思い浮かぶ。
「も、もしかして会ちょ……お義母様の『そろそろ伴侶を』というのは」
「君に発破をかけていたつもりだったらしい。すまなかったな。もう余計な真似はするなと釘をさしておいたから、もう俺たちのことに変に口出しはしてこないはずだ」
「い、いえいえ」
ぶんぶんと首を振る。肩をすくめる玲司さんに、私は「あの」と声をかけた。
「玲司さんが言ってくださっていた、私が『かわいい』を受け入れられない理由なんですが」
「……聞かせてくれるのか?」
私は苦笑した。
いままで、ずっと誰にも言えなかった出来事だ。恥ずかしくて惨めで、悲しくて。
でも言葉にしようと思えたのは、玲司さんが私を愛してくれたから。かわいいと言ってくれるから。
「大したことじゃないんです、本当に」
そう前置きして、高校時代の出来事を話した。
黙って聞いてくれた彼は、「そんなわけでした」と締めくくった私にはっきりと告げる。
「君の友人を悪く言って悪いが、シンプルに性格が悪いな」
「え、ええっ。そんなことは」
私は湯呑をテーブルに置き、乃愛ちゃんを悪く言ってしまっただろうかと眉を下げる。
玲司さんは「ああ、違う」と目を柔らかく細める。
「君の話は非常に客観的だったし、君に肩入れしての感想じゃない。君が『かわいい』と言われているのが業腹だったとしても『痛いから』は悪意があるだろう」
「そうでしょうか」
「それに」
ふむ、と玲司さんは腕を組み目線を上げた。それから再び私を見て、はっきりと告げる。
「その同級の男は、本当に君が好きだったんだと思うぞ」
「え」
私は目を丸くした。私のことが好きだった?
「普通、高校生くらいの男が好きでもない女に『かわいい』なんて連呼しない。おそらくなんらかの理由があったんだろう」
私は首を傾げ、それから首を振った。
「どっちにしろ、なんにせよ、彼が私に『かわいい』といっていた理由なんてもうどうでもいいです」
そう言い切って、にっこりと笑う。
「私、いま玲司さんに愛してもらっているだけで幸せです。だから、過去なんて、どうでも」
ふふ、と笑ってしまう。
十年も引きずった出来事だったのに、玲司さんに愛を告げられただけで、どうでもよくなる理由だったなんて。
「……そうか」
「そうですよ」
「も、もしかして会ちょ……お義母様の『そろそろ伴侶を』というのは」
「君に発破をかけていたつもりだったらしい。すまなかったな。もう余計な真似はするなと釘をさしておいたから、もう俺たちのことに変に口出しはしてこないはずだ」
「い、いえいえ」
ぶんぶんと首を振る。肩をすくめる玲司さんに、私は「あの」と声をかけた。
「玲司さんが言ってくださっていた、私が『かわいい』を受け入れられない理由なんですが」
「……聞かせてくれるのか?」
私は苦笑した。
いままで、ずっと誰にも言えなかった出来事だ。恥ずかしくて惨めで、悲しくて。
でも言葉にしようと思えたのは、玲司さんが私を愛してくれたから。かわいいと言ってくれるから。
「大したことじゃないんです、本当に」
そう前置きして、高校時代の出来事を話した。
黙って聞いてくれた彼は、「そんなわけでした」と締めくくった私にはっきりと告げる。
「君の友人を悪く言って悪いが、シンプルに性格が悪いな」
「え、ええっ。そんなことは」
私は湯呑をテーブルに置き、乃愛ちゃんを悪く言ってしまっただろうかと眉を下げる。
玲司さんは「ああ、違う」と目を柔らかく細める。
「君の話は非常に客観的だったし、君に肩入れしての感想じゃない。君が『かわいい』と言われているのが業腹だったとしても『痛いから』は悪意があるだろう」
「そうでしょうか」
「それに」
ふむ、と玲司さんは腕を組み目線を上げた。それから再び私を見て、はっきりと告げる。
「その同級の男は、本当に君が好きだったんだと思うぞ」
「え」
私は目を丸くした。私のことが好きだった?
「普通、高校生くらいの男が好きでもない女に『かわいい』なんて連呼しない。おそらくなんらかの理由があったんだろう」
私は首を傾げ、それから首を振った。
「どっちにしろ、なんにせよ、彼が私に『かわいい』といっていた理由なんてもうどうでもいいです」
そう言い切って、にっこりと笑う。
「私、いま玲司さんに愛してもらっているだけで幸せです。だから、過去なんて、どうでも」
ふふ、と笑ってしまう。
十年も引きずった出来事だったのに、玲司さんに愛を告げられただけで、どうでもよくなる理由だったなんて。
「……そうか」
「そうですよ」