鉄仮面CEOの溺愛は待ったなし!~“妻業”始めたはずが、旦那様が甘やかし過剰です~
「入るよ……!」
レコーダーを持つ手を強く握りながら浦田さんは眉を寄せた。
「最悪じゃん、こんなの……心春ちゃんを傷つけてやる、傷つけたいって魂胆が丸見え」
「ええつ? でも私を傷つけてどうするんです」
浦田さんは「うーん」と腕を組んで、それからぽそっと呟いた。
「最後の台詞なんて、本気で社長夫人の座を奪いきます、って宣戦布告よね。これからなにかしかけてくるかも」
私は目を丸くして、きゅっとネックレスのダイヤを握りしめる。違うと思う、と言いたいけれど……とてもそう言えないほどの気迫が彼女にはあった。
正面で玲司さんが「は」と乾いた声で笑い、口を開く。
「俺はあんな女に狙われるくらいのレベルなのだと思うと涙が零れそうだ」
そうして私を優しく見つめる。
「心春。絶対に心配するな」
「はい」
私がはっきりと頷くと、玲司さんはほっと息を吐いた。
それから一週間ほどたった金曜日のことだ。
先に退社した私が家に着くや否や、バケツをひっくり返したような雨が降り始めた。
すぐに止むだろうかと様子を見てみたものの、一向に止む気配がない。
アプリで雨雲レーダーを確認すると、この雨はしばらく降り続くようだった。
予報ではそんなことひとことも言っていなかったのになあ。
「大丈夫かな、玲司さん……」
と、玲司さんから私を気遣うメッセージが届く。
「着いてから降り出したので大丈夫ですよ、と……」
それに「気を付けてくださいね」と添えた。
もっとも社用車だと思うから、そこまで濡れることもないと思うのだけれど。
キッチンで、いつも通りにザ・庶民な夕食を作る。
最近、玲司さんはこんなふうな夕食が好きなのだ。
余ったら冷凍しておこうと思いつつ作ったのは、庶民おなじみの肉じゃがだ。
煮込んでいる間にサラダを作っていると、インターフォンが鳴った後に開錠する音がした。
電子キーのため、開錠するとインターフォンの受信機にお知らせがくるのだ。
リビングを出て、玄関に向かう。
「おかえりなさ……れ、玲司さん?」
私はびっくりして彼に駆け寄った。
スーツの色が変わってしまうくらい、べしょべしょだ。髪の毛からはぽたぽたと水滴が落ちている。
「た、タオルタオル」
慌てて洗面所に飛び込んで、大きめのタオルを引っ張り出し玄関に戻る。
「どうぞ、これ……あ、お風呂入ってますよ」
レコーダーを持つ手を強く握りながら浦田さんは眉を寄せた。
「最悪じゃん、こんなの……心春ちゃんを傷つけてやる、傷つけたいって魂胆が丸見え」
「ええつ? でも私を傷つけてどうするんです」
浦田さんは「うーん」と腕を組んで、それからぽそっと呟いた。
「最後の台詞なんて、本気で社長夫人の座を奪いきます、って宣戦布告よね。これからなにかしかけてくるかも」
私は目を丸くして、きゅっとネックレスのダイヤを握りしめる。違うと思う、と言いたいけれど……とてもそう言えないほどの気迫が彼女にはあった。
正面で玲司さんが「は」と乾いた声で笑い、口を開く。
「俺はあんな女に狙われるくらいのレベルなのだと思うと涙が零れそうだ」
そうして私を優しく見つめる。
「心春。絶対に心配するな」
「はい」
私がはっきりと頷くと、玲司さんはほっと息を吐いた。
それから一週間ほどたった金曜日のことだ。
先に退社した私が家に着くや否や、バケツをひっくり返したような雨が降り始めた。
すぐに止むだろうかと様子を見てみたものの、一向に止む気配がない。
アプリで雨雲レーダーを確認すると、この雨はしばらく降り続くようだった。
予報ではそんなことひとことも言っていなかったのになあ。
「大丈夫かな、玲司さん……」
と、玲司さんから私を気遣うメッセージが届く。
「着いてから降り出したので大丈夫ですよ、と……」
それに「気を付けてくださいね」と添えた。
もっとも社用車だと思うから、そこまで濡れることもないと思うのだけれど。
キッチンで、いつも通りにザ・庶民な夕食を作る。
最近、玲司さんはこんなふうな夕食が好きなのだ。
余ったら冷凍しておこうと思いつつ作ったのは、庶民おなじみの肉じゃがだ。
煮込んでいる間にサラダを作っていると、インターフォンが鳴った後に開錠する音がした。
電子キーのため、開錠するとインターフォンの受信機にお知らせがくるのだ。
リビングを出て、玄関に向かう。
「おかえりなさ……れ、玲司さん?」
私はびっくりして彼に駆け寄った。
スーツの色が変わってしまうくらい、べしょべしょだ。髪の毛からはぽたぽたと水滴が落ちている。
「た、タオルタオル」
慌てて洗面所に飛び込んで、大きめのタオルを引っ張り出し玄関に戻る。
「どうぞ、これ……あ、お風呂入ってますよ」