鉄仮面CEOの溺愛は待ったなし!~“妻業”始めたはずが、旦那様が甘やかし過剰です~
「もちろんでございます」
私は胸を張る。
「本城社長にそろそろ生涯の伴侶を……と会長からご相談いただきました」
「そう。あの子もね、身を固めたほうが落ち着くのじゃないかしらって」
会長は軽く咳払いし、私をじっと見る。
「あなたなら適任……というか玲司もあの鉄仮面をとろとろにして喜ぶというか」
「……? 後半のお言葉の意味はわかりかねますが」
「そう?」
「適任、と会長に仰っていただいたからにはもちろん気合をいれまして」
「ええ」
「本城社長にふさわしい独身のご令嬢のリストアップを着々と進めている最中でございます」
「なんでやねん」
会長が壊れた……ようでそうじゃない。会長のもともとのご出身は神戸なので、時々このように関西弁が出てしまうのだ。
「なんでやねん……!」
二回も突っ込まれてしまった。
「しゃ、社長のお見合いの相手はご令嬢ではないのですか……ということはバリキャリ系の女性をお相手にと……? くっ、この不肖森下、会長からのご指示をはき違えておりました……! す、すぐにリストを見直し」
「そうじゃないの」
会長はもはや椅子から立ち上がり、早足で机を回り込んだ。それから少し深呼吸をして、咳ばらいをする。
「……ごめんなさい、取り乱しました」
「いえ、わたくしの不手際のせいですので……っ」
「あのね、森下さん。いえ心春さん」
なぜだか下の名前を呼び、会長は続けた。
「あたくし先日、あなたになんとお話しました?」
「もちろん一言一句違わず記憶しております。『森下さん、玲司もそろそろ身を固めたほうがいいと思うの。ビジネス面でもあなたに支えてもらっているし、プライベートでも支えてくれたら……んんっ、じゃなくて、いい奥さんがいてくれたらなって……どう?』」
それで私ははりきって社長の奥様候補をリストアップし始めたのだ。
各界のご令嬢で、社長にふさわしいと思える素晴らしい方々を……。
あとはお見合いの打診をすればよいところまでもっていっていたのに。
「遠回しに言いすぎたわね」
「うう、申し訳ございません会長……この愚鈍な森下めにもわかるよう、簡潔にご指示くださいませんでしょうか」
「愚鈍だなんて。あなたほど気が利く秘書ってそうそういないわ。欠点としては自分を卑下しすぎているところね。あらゆることに自分を含めていないというか」
「会長、なんとお優しいお言葉……」
私は胸を張る。
「本城社長にそろそろ生涯の伴侶を……と会長からご相談いただきました」
「そう。あの子もね、身を固めたほうが落ち着くのじゃないかしらって」
会長は軽く咳払いし、私をじっと見る。
「あなたなら適任……というか玲司もあの鉄仮面をとろとろにして喜ぶというか」
「……? 後半のお言葉の意味はわかりかねますが」
「そう?」
「適任、と会長に仰っていただいたからにはもちろん気合をいれまして」
「ええ」
「本城社長にふさわしい独身のご令嬢のリストアップを着々と進めている最中でございます」
「なんでやねん」
会長が壊れた……ようでそうじゃない。会長のもともとのご出身は神戸なので、時々このように関西弁が出てしまうのだ。
「なんでやねん……!」
二回も突っ込まれてしまった。
「しゃ、社長のお見合いの相手はご令嬢ではないのですか……ということはバリキャリ系の女性をお相手にと……? くっ、この不肖森下、会長からのご指示をはき違えておりました……! す、すぐにリストを見直し」
「そうじゃないの」
会長はもはや椅子から立ち上がり、早足で机を回り込んだ。それから少し深呼吸をして、咳ばらいをする。
「……ごめんなさい、取り乱しました」
「いえ、わたくしの不手際のせいですので……っ」
「あのね、森下さん。いえ心春さん」
なぜだか下の名前を呼び、会長は続けた。
「あたくし先日、あなたになんとお話しました?」
「もちろん一言一句違わず記憶しております。『森下さん、玲司もそろそろ身を固めたほうがいいと思うの。ビジネス面でもあなたに支えてもらっているし、プライベートでも支えてくれたら……んんっ、じゃなくて、いい奥さんがいてくれたらなって……どう?』」
それで私ははりきって社長の奥様候補をリストアップし始めたのだ。
各界のご令嬢で、社長にふさわしいと思える素晴らしい方々を……。
あとはお見合いの打診をすればよいところまでもっていっていたのに。
「遠回しに言いすぎたわね」
「うう、申し訳ございません会長……この愚鈍な森下めにもわかるよう、簡潔にご指示くださいませんでしょうか」
「愚鈍だなんて。あなたほど気が利く秘書ってそうそういないわ。欠点としては自分を卑下しすぎているところね。あらゆることに自分を含めていないというか」
「会長、なんとお優しいお言葉……」