鉄仮面CEOの溺愛は待ったなし!~“妻業”始めたはずが、旦那様が甘やかし過剰です~
玲司さんは目を見開き、それから小さく頷いてくれた。
「俺は馬鹿だな。ひとりで嫉妬して、事情も聞かずに。すまなかった」
「馬鹿なのは私です。全然伝わってなかったですし、それに今回のことも黙っていてすみません」
そう言う私の手を玲司さんは握り、それから「あー」と片手で口元を覆う。
「本気でかっこ悪かったな、俺」
「玲司さんはいつなんどきいかなる瞬間もかっこいいですよ?」
「……心春もかわいいよ」
眉を下げて言う玲司さんに、誠司さんが「おい」と笑う。
「見せつけてくれるなよな」
そのあとぽつぽつと話して、玲司さんと誠司さんは、お互いはっきりと仲直りの言葉を口にすることはなかった。
玲司さんは自分の中で誠司さんと自分を比べて、感情が凝り固まって。
誠司さんは玲司さんにすべてを押し付けた罪悪感から、距離を置いてしまって。
ただ、今日思わぬ形とはいえ本音をさらけ出し合ったことで、ふたりの間に横たわっていた分厚い壁が、少しだけ薄くなったような気がした。
いつかそれが壊れてなくなってしまえばいいと思う。
ただ、きっとそれは時間が解決していってくれるだろう。もうお互いに避け合うことはないと思うから。
「ところで、玲司。どうしてここに」
「ああ」
玲司さんは目線を応接室の入口にやる。ドアの近く、積み上げられた資材の横に縦長の紙袋があった。
「……直営を出店するというから」
「ワイン? まじか、ありがとう玲司」
誠司さんがワインの瓶を持って涙目になっていた。
もしかしたら、こんなことがなくともふたりはいつか和解していたのかもしれない、と思う。
「玲司さん」
手をつないで歩く帰宅路で、玲司さんを見上げ聞いてみる。
「誕生日、なにが欲しいですか」
まあ、まだ先ではあるんだけれど。
「ん? 心春かな」
「あげてるのでどうしましょう」
ふは、と玲司さんは笑う。
「なにもいらない。君がそばにいてくれれば」
そう言って爽やかに笑うけど、内心どうしようと首に巻いたストールに触れる。誕生日に玲司さんがプレゼントしてくれたストールだ。
夕陽に照らされたふたりの影が長く伸びる。
「……そういえば、なんですけど」
「どうした」
「玲司さんがバスケしているところ、見てみたいなー……なんて」
「唐突だな」
玲司さんが目を丸くする。
「でもどうやって」
「俺は馬鹿だな。ひとりで嫉妬して、事情も聞かずに。すまなかった」
「馬鹿なのは私です。全然伝わってなかったですし、それに今回のことも黙っていてすみません」
そう言う私の手を玲司さんは握り、それから「あー」と片手で口元を覆う。
「本気でかっこ悪かったな、俺」
「玲司さんはいつなんどきいかなる瞬間もかっこいいですよ?」
「……心春もかわいいよ」
眉を下げて言う玲司さんに、誠司さんが「おい」と笑う。
「見せつけてくれるなよな」
そのあとぽつぽつと話して、玲司さんと誠司さんは、お互いはっきりと仲直りの言葉を口にすることはなかった。
玲司さんは自分の中で誠司さんと自分を比べて、感情が凝り固まって。
誠司さんは玲司さんにすべてを押し付けた罪悪感から、距離を置いてしまって。
ただ、今日思わぬ形とはいえ本音をさらけ出し合ったことで、ふたりの間に横たわっていた分厚い壁が、少しだけ薄くなったような気がした。
いつかそれが壊れてなくなってしまえばいいと思う。
ただ、きっとそれは時間が解決していってくれるだろう。もうお互いに避け合うことはないと思うから。
「ところで、玲司。どうしてここに」
「ああ」
玲司さんは目線を応接室の入口にやる。ドアの近く、積み上げられた資材の横に縦長の紙袋があった。
「……直営を出店するというから」
「ワイン? まじか、ありがとう玲司」
誠司さんがワインの瓶を持って涙目になっていた。
もしかしたら、こんなことがなくともふたりはいつか和解していたのかもしれない、と思う。
「玲司さん」
手をつないで歩く帰宅路で、玲司さんを見上げ聞いてみる。
「誕生日、なにが欲しいですか」
まあ、まだ先ではあるんだけれど。
「ん? 心春かな」
「あげてるのでどうしましょう」
ふは、と玲司さんは笑う。
「なにもいらない。君がそばにいてくれれば」
そう言って爽やかに笑うけど、内心どうしようと首に巻いたストールに触れる。誕生日に玲司さんがプレゼントしてくれたストールだ。
夕陽に照らされたふたりの影が長く伸びる。
「……そういえば、なんですけど」
「どうした」
「玲司さんがバスケしているところ、見てみたいなー……なんて」
「唐突だな」
玲司さんが目を丸くする。
「でもどうやって」