無自覚な大人気モデルは、私だけに本気の愛を囁く



 その可愛らしい反応に嬉しさが上昇した匠は、自制を忘れて念願の唇を重ねた。


「……んっ」


 触れ合った熱に、咲子の鼓動は慌ただしく脈打つ。
 それどころか、今までの我慢を払拭するかのように、口づけは深いものへと移行していった。
 匠から仕掛けられる熱のこもったキスに、咲子は応えるのが精一杯で。
 重心は徐々に後ろへとずれ、やがてソファに押し倒されてしまう。


「っ……たっ、匠さん……!」
「え……? ああ、ごめん……」


 いつの間にか咲子を下にして、またがるような体勢になっていた。
 それにようやく気がついた匠が、驚いた表情を浮かべる。
 咲子と想いが通じ合ったことを機に、自分がここまでに自制の利かない人間になるとは。
 そう反省をしていた匠に、咲子は微笑みながら声をかけた。


「……撮影、はじめましょうか」
「ああ、そうだな」


 目的を忘れそうになっていた匠は、咲子の手をとりゆっくりと体を起こしてあげた。
 そうして隣同士に座ったまま、互いに熱くなった体を冷ますのに全力を注ぐ。
 しかし、咲子の中ではしっかりと“約束”を結んでおきたくて、匠にそっと視線を送った。


「……撮影が終わったら」
「ん?」
「続き、してくれますか?」


 思いがけない咲子のセリフに、匠は目を丸くして言葉を失った。
 そして、その意味を理解すると質問の答えを返すように、もう一度キスを交わす。
 想いが通じ合って嬉しいのは、匠だけではない。
 咲子もまた、匠の優しさと愛情を再確認できて、ますます好きな気持ちが溢れていた。


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